「でんき予報」をご存知ですか?

「でんき予報」とは?

皆様は「でんき予報」というのをご存知でしょうか?「天気予報」ではありません。「電気予報」です。この「でんき予報」は、東京電力のページに掲載されています。

東京電力パワーグリッド でんき予報
http://www.tepco.co.jp/forecast/index-j.html

でんき予報解説
http://www.tepco.co.jp/forecast/html/kaisetsu-j.html

こちらのページに解説が書かれていますが、つまり現在のその地方の電気の使用状況と、その地方電力会社の電気の供給力についてが表示されています。特に電気の使用実績は5分間隔のほぼリアルタイム更新なので、まさに今どれくらいの電気が使用されているのかが、一目で分かるようになっています。
また夜18時以降には、翌日の電力使用量の見通しが発表されます。
同じように電力の使用量を掲載したページは、他の地方電力会社のホームページにもあります。

電気使用量が多いと何が起こる?

電気使用量が多いと何が起こる?

でんき予報」のページを見ると、左側にメーターがあって、真ん中に○○%という数字があるのが分かると思います。そしてメーターは緑色をしていて、100%に近づくと黄色から赤になるようになっているのが分かるかと思います。
メーターが緑色を指している時は、電力使用量にまだ余裕がある状態です。黄色は少し余裕が無くなってきた、という所でしょうか。そして赤は…電力に余裕が無くなっている状態です。

では電力に余裕が無いというのは、どういう状況でしょうか?
電力に余裕が無い状態が続いてしまうと、電気の供給が絶たれてしまう恐れがあります。電気の供給が絶たれるということはつまり電気が使えなくなるということで、地域的な大規模停電が発生する可能性が出てきてしまいます。関東にお住まいの方は、かつての「計画停電」を思い出されるかもしれませんね。

夏と冬、電力消費が多いのはどっち?

夏と冬、電力消費が多いのはどっち?

電力の需要は夏よりも冬に増える傾向があります。
夏の電気の使用量のピークは、ほぼお昼すぎになります。朝、皆さんが生活を始める時間、家の電気をつけたり、会社の照明や工場の機械を動かし始めるころに電力使用量が増え始めます。お昼すぎが一番暑いので、冷房も多く使われるようになります。しかし夕方になると暑さがやわらぎ少し涼しくなるので、冷房の温度を下げたり止めたりして、冷房で電気を使用するところが減ってきます。その頃には会社も就業時間を終えますし、町工場なども機械を止めますので、電気の使用量が下がってきます。また夏は夕方まで明るいので、照明などの電気を使いはじめる時間が少し遅くなり、冷房のピークと微妙にずれてきます。

しかし冬はどうでしょうか。もちろん暖房などによる電力使用量の増加もありますが、基本的に夜になっても寒いまま、むしろ夜の方が寒くなったりしますので、そのまま暖房を使い続けることになります。また夏と違い夜が早く来るので、オフィスや工場などが電気を使わなくなる前に照明を使う時間が来てしまいます。つまり暖房を使う時間と照明を使う時間が重なってしまいます。ですのでどうしても冬の方が電力使用量が高くなってしまうのです。

結果として、夏より冬の方が電力使用量が高くなります。電力使用量が高くなるということは、電気の余裕が無くなってしまい、停電になるリスクが高まるということです。もしも真冬の雪が降っているような夕方に停電が発生してしまったら、どうなるでしょうか?

とても寒い真冬の夕方。しかも雪が降っています。電気を使うような暖房は利用不可。また照明も無い状態です。そのような状態では、暖かい料理を作ることも出来ません。テレビなどから情報を得ることだって出来なくなります。考えただけでも、大変な事態ですね。まさに未曾有の大災害だと言っていいでしょう。

大規模停電を回避するために

もちろんそうならないよう、電力会社も努力をしています。例えば電力使用量が多く見込まれそうな時には、余裕のありそうな他の電力会社から電気を買い付けるなどの対策を行っております。
ただし今は発電量の大きい、各地の原子力発電所が発電をほぼストップしていますので、どうしても火力発電所や水力発電所などの電気を利用せざるを得ません。特に火力発電所は、一度動き出すとメンテナンスが出来ない状態になりますし、なかなか止める事もできません。メンテナンスを行わずに何年も発電を続けているところもあるそうです。そのような火力発電所が、メンテナンス不足で故障してしまったら、一体どうなるのでしょう?
本当は原子力発電所が動いていればいいのですが、再稼働はなかなか進んでいないのが現状です。

もちろん実際には、ある程度の余裕をもった上で「でんき予報」を出しているのだと思います。またたとえ電気の使用量の予測が99%であったとしても、実際にはもうちょっと少ない値なのかもしれません。何かあった場合の電力は、ある程度は確保しているのかもしれません。
しかしそれでもいつ何が起きるかは分かりません。現在のメインの発電方法である火力発電も、戦争やトラブルなどで燃料が入ってこなければ、すぐに発電することが出来なくなってしまいます。

そういった部分を踏まえても、やはり電気の消費者である我々が、電気の節約には常日頃気をつけていないといけないのかもしれませんね。
暖房の温度を一度下げる、冷房であれば一度上げる、電気を頻繁につけたり消したりしない、照明をLEDなどに変えておく、作業時間を短くする、などなど。方法はいくらでもあると思います。

まとめ

私たち「工場電気ドットコム」では、「電気代を節約する」お手伝いは出来ます。しかしあくまでも「電気代」が下がるだけです。電気代が下がったからといって、その分大量に電気を使ってしまっては、あまり意味はありません。電気代を下げたうえで、可能な限りは電気使用量を少なくするように節約を進めていった方が、ご自身の工場のためにも、また社会のためにもなっていくと思います。

これを機会に、少し電気の使い方を見なおしてみてはいかがでしょうか?