知っているようで知らない送電について

電気は発電所で作られますが、発電所で作られた電気は、そのまま直接各家庭や工場に届くわけではありません。発電所から各家庭・工場の間には、送電線といくつかの変電所があります。電気はこれら変電所で少しずつ電圧を下げられ、さらに送電線を伝わって各家庭・工場など消費者のところへ届けられます。

今回はこの送電について書いていきたいと思います。

送電線の経路

電気は発電所で作られます。ということは送電線の最初は、各発電所ということになります。火力・水力・原子力…その他各再生可能エネルギー発電所など、多くの発電所がありますね。

発電所で作られる電気は、おおよそ数千Vから2万Vの間の電圧の電気となります。これらの電気をまずは発電所に併設された変電所で、27万5000V~50万V程度の超高電圧に変換して、送電線に送ります。

発電所の次に送られるのが、超高圧変電所と呼ばれる変電所になります。ここで電圧を15.4万V程度にまで下げます。電圧をじょじょに下げるのでは無く、最初から低い電圧で送ればいいのでは無いか、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、送電の際には電圧を高くしておいた方が、送電によるロスが少なくなり、長距離でも効率よく送電が出来るのです。

次は1次変電所と呼ばれる場所に送電されます。ここでは6.6万Vまで電圧が下げられます。一部の電気は、ここから直接鉄道や大規模な工場・企業などに送られ、各工場・企業にある変電設備で、通常使用する電圧に下げられます。

工場などに送られなかった電気は、続いて中間変電所に送られます。中間変電所では、電圧を6.6万Vから2.2万Vへと下げます。ここでまた一部の電気は、大規模な工場やコンビナートなどに送られて、利用されます。

次は配電用変電所となります。ここでは電圧を2.2万Vから6,600Vに下げ、その一部を中規模工場や大型ビルディングなどに直接送ります。今このページをご覧になっている工場の方も、もしかしたら配電用変電所から直接電気を送ってもらっていらっしゃる所があるかもしれませんね。

残った電気は、街中にある電線に送られます。電線に送られた電気は電柱の上に取り付けられている柱上変圧器で、電圧は100V~200Vに下げられ、各家庭や小規模な工場・町工場・事業所など一般的な消費者のところへ送られます。

まとめ

いかがだったでしょうか?単純に送電と言いますが、その間はとても長い距離で、そしていくつもの変電所を経由している、という事がお分かりいただけたかと思います。そして電気の速度は光の速さ(秒速約30万km弱)と同程度と言われていますので、発電所で作られた電気は、すぐに私たちの家庭や工場に届くようになっているのです。

また以前から何度か書いていますが、各発電所で発電された電気は、各変電所でまとめられていきます。ですから新電力に切り替えたからといって、そこだけ質の悪い電気が届く、という事はあり得ないのです。