この工場電気ドットコムでは今まで様々なコラムを書いてきました。その中で、電気に関連する実に多くの単位が出てきました。「V」「W」「kWh」など、実に様々です。そこで今回はそんな電気の単位について、まとめていきたいと思います。
基本的な電気の単位
まずは電気の基本となる単位です。
A(アンペア)
電流の単位にはアンペア(A)が使われます。電流とはつまり、導線の中を流れる電気の量となります。水道を流れている水の量がアンペアだと考えていただければ、イメージがつかみやすいかもしれません。
V(ボルト)
ボルト(V)とは、電気を押し出す力の事です。水道で考えると、水を押し出すポンプの力だと考えればいいでしょうか。一般家庭での電圧は、通常であれば100Vとなっています。
W(ワット)
実際に消費される電気エネルギーをワット(W)といいます。おそらく皆さんが最も目にする事が多い電気の単位でもあるかと思います。電球や電化製品などに「100W」「500W」と書かれていますね。このWは次のような式で表す事が可能です。
電力(W)=電圧(V)×電流(A)×力率
つまり電圧や電流が多ければ多いほど、このWの値が大きくなるという事です。実際に水が流れた量がWという事になります。ここでポイントとなるのは、例えば流れる電流が少なくとも、電圧が高ければWの値も高くなるという事になります。具体的には力率が同じであっても、例えば…
電圧(500V)×電流(10A)
電圧(50V)×電流(100A)
の二つは、Wで考えると同じ値になるという事になります。上の方は少しの水がものすごい勢いで流れているイメージ、下の方は大量の水がゆっくりと流れているイメージとなります。しかし実際には、電圧が高ければ流れる電流も自然と増えますので、上記のような例はあまり見かける事は無いと言えるでしょう。
そして1,000ワットが1キロワット(kW)と呼ばれます。更に上となると、1,000キロワットで1メガワット(MW)、1,000メガワットで1ギガワット(GW)となります。一般的に家庭や工場などの電気使用量はキロワット(kW)が使われることがほとんどです。
電気料金で使われる単位について
ここからは電気料金で良く使われる単位を解説していきます。
キロワットアワー(kWh)
これは電気料金の明細書などで良く見る単位となります。これは電気料金を考えるうえで、全ての基本となる単位です。キロワット(kW)は先程も説明したように、1,000ワットの事となります。その後ろについている「h」は時間を表す単位、つまり「Hour」の頭文字ですね。kWhとはつまり、ある時間に使う電気の量をあらわす単位になります。
例えば100Wの電気を1時間使うと、100Whになります。2時間使うと200Whになります。それを式で表すとこのようになります。
100W × 1h = 100Wh
200W × 1h =200Wh
電気代明細などで使われるのはキロワットアワーなので、これを更に1000で割ります。そうするとそれぞれ0.1kWh、0.2kWhとなります。例えば500Wの家電製品を5時間使ったとします。その場合のキロワットアワーは……
500(W)÷1,000×5(h)=2.5(kWh)
となります。水の例で考えるのであれば、水が流れて実際にたまった量がkWhという事になるでしょうか。つまりW数が高いものを短い時間使うより、W数が低いものを長時間使った方が、消費電力が大きくなる場合もあるという事になります。
そして電気料金は、このkWhが基本となりその量に応じて料金が決定する仕組みになっています。
その他の電気に関する単位
今まで説明した以外にも、電気に関連する単位はいくつもあります。
ヘルツ(Hz)
ヘルツとは電気の「周波数」の事です。一般に家庭用電気は「交流」と呼ばれるものが使われているのですが、この交流電気はプラスとマイナスの波が、一秒間に何回も入れ替わっているのが大きな特徴です。そしてこのプラスとマイナスが入れ替わる回数を「周波数」と呼んでいます。
ちなみに日本では静岡県の富士川と新潟県の糸魚川の辺りを境目にして、そこから東は50Hz、西側は60Hzの電気が供給されています。この違いは明治時代に日本に電気が入ってきたときの、発電機の方式が違っていた事が原因です。
オーム(Ω)
電気の抵抗の事を「オーム」といいます。「オームの法則」というのを聞いたことがある人もいらっしゃるかもしれませんが、その「オームの法則」を発見した物理学者にちなんで名前がつけられました。
電気抵抗とは、その名前の通り電流の流れにくさを表しています。この数値が大きければ大きいほど、電流が流れにくいという事になります。この電気抵抗の値は物質によっても違ってきますし、大きさや温度など、様々な条件で変化してきます。
最後に
今回は「電気の単位」という事でまとめてみました。もちろん詳しく書こうと思えばまだまだ長く書く事は可能です。更に専門的な内容を知りたい方は本やインターネットなどで調べてみましょう。