ドイツでの再生可能エネルギー発電について

いまや世界各国で、再生可能エネルギーの研究が盛んになっています。再生可能エネルギーはエネルギーの今後を考えるうえでとても大事なものです。また環境問題とも大きな関わりを持ってきます。そんな再生可能エネルギーを研究をして発展させていくのは、国としての責任であるとも言えるでしょう。しかし再生可能エネルギーは、まだまだ不安定な要素が多く、また環境によっても効果が違ってくるので、実現させるのはかなり大変なことでもあるのです。

しかしヨーロッパにあるドイツは、実はそんな再生可能エネルギーの普及に、とても成功した国の一つでもある、という事は意外と知られていません。2016年にはドイツ国内の発電量のおよそ30%が再生可能エネルギーでした。さらに2018年には、再生可能エネルギーの割合が40%を越えた、という報告もあります。これは大変驚くべき数字だと言えるでしょう。

ドイツでの総発電量の中で、特に割合が多いのが実は「風力発電」です。総発電量の中で風力発電が占める割合ですが、2016年でおよそ12%となっています。太陽光が6.8%、バイオマス発電が7.0%である事を考えると、全体の中での風力に占める割合がかなり高くなっているのが分かるかと思います。

ドイツでは2050年に再生可能エネルギーの発電比率を80%に引き上げることを目標としています。そのために国が一体となって、再生可能エネルギーの普及を進めているのですが、しかし今年になってそんな動きにも少しだけ陰りが見えてきたようです。

時事ドットコムニュース:風力発電、曲がり角に=建設激減、関連企業破綻も-ドイツ

ドイツの総電力の2割を占め、再生可能エネルギー普及の主役を担ってきた風力発電が曲がり角を迎えている。補助制度の変更や、地元住民の反対運動で、発電設備の新規建設が激減。関連企業の破綻も相次ぐ。政府の温室効果ガス削減目標達成にも黄信号がともっている。

中略

その主因は、昨年以来、陸上風力発電設備の新規建設が激減していることだ。公益法人FAウィントによると、今年1~3月期の新規導入容量は前年同期比約9割減の13万4100キロワットと、同期としては2000年以来の低水準となった。
独風力エネルギー連盟のアクテルム会長は「制度変更と、建設認可の遅れが大きい」と話す。ドイツでは17年、電力会社が再生エネ電力を発電業者から調達する際、固定価格で買い取る方式から、安い価格を示した業者順に落札する入札方式に本格移行した。「利益が見込めない」と、発電事業者の参加が滞り、募集容量分の入札が集まらない「札割れ」が頻発するようになった。

ドイツでは2017年に再生可能エネルギー買取に関する方式が、それまでの固定価格買取式から入札式に変更されました。また新規発電所の建設認可も遅れてきているようですが、それら全てが悪いという事では無いでしょうが、風力発電所の新規建設数が減ってきているのは確かなようです。また風力発電所を新規建設することで、環境が破壊されてしまうという訴えも出てきており、反対運動なども広がってきているようです。このあたりは日本での太陽光パネルの乱立を思い起こさせるといっていいでしょう。

いずれにせよこのままでは上に書いた「2050年に再生可能エネルギーの発電比率を80%に引き上げる」という目標を達成すること自体が、難しくなってくるでしょう。いずれなんらかの方針転換を迫られるものだと思われます。

このコラムでも何度か書いていますが、再生可能エネルギーは万能ではありません。まだまだ不十分なところがありますし、安定した電力を生み出すのはなかなか難しい状況です。また場合によっては、逆に環境を破壊してしまう結果につながることもあります。だからといって安易に開発をやめてしまうのは、それこそ無責任だと言えるでしょう。そういった問題点、課題などを出していき、しっかりとした対策を考えて、より良い物へと改善していくことこそが、再生可能エネルギーのさらなる発展に必要不可欠なのです。