盗電や漏電の電気料金は誰が支払うのか?

電気料金の明細書が届いたので見てみたら、先月よりもはるかに高い電気料金を請求されていた!という経験のある方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれません。夏場になってクーラーを使うようになったので電気料金が上がったり、あるいはうっかり冷蔵庫を開けたまま数日過ごしてしまったり、そのような事情で電気代が高くなってしまうという事は十分考えられます。

しかしそういった心当たりが全く無くて電気料金が高くなってしまった場合、考えなければいけないのは、漏電や盗電などの可能性です。「漏電」はなんらかの原因で電気製品から電気が漏れてしまい、想定以上に電気が使われてしまっている状態です。一方の「盗電」は読んで字のごとく、電気が誰か他の人に勝手に使われてしまっている状態をいいます。例えば商店や工場などで、建物の外にコンセントなどがあるような場合、注意をしないと他の人に勝手に電気を使われてしまっている、ということも十分あり得ます。

しかし漏電や盗電で使った分の電気は、本来であれば私達が意図して使った電気では無いはずです。そのような意図して使うはずでは無かった電気の電気料金も、私達が支払わないといけないのでしょうか?とても気になるところだと思います。

漏電した分の電気代はどうなるか?

まず漏電した分に関しての電気代についてです。漏電には様々な原因が考えられます。場合によってはネズミなどにコードを齧られた結果、そこから電気が漏れてしまい、電気使用量が大幅に増えてしまうという事もあります。そして結論から言ってしまうと、漏電によって電気使用量が大幅に増えてしまっても、その電気代はご自身で支払わなくてはなりません。

漏電とはつまり、ご自身が使われている電気系統のトラブルです。ですので、その電気系統の管理責任などは全て、実際に電気を利用していたあなた自身にあるという事になります。つまり漏電を直さずに放置していたという事がご自身の責任という事になってしまい、電気料金を支払わなくてはならない、という理屈です。

とはいっても、先程書いたようにネズミにコードを齧られてしまったのまで払わないといけないとか、なんらかの事故により他人のせいで漏電が起きてしまった場合でも払う必要があるのかとか、あるいは共同住宅などの場合は漏電を放置していた大家さんにもなんらかの責任があるのでは無いか、と思われるかもしれません。あまりにも極端な場合ですと、民事裁判などを起こせば多少は電気料金を請求できるかもしれませんが、基本的には漏電の場合には、電気代は全てご自身で負担しないとならないと言えます。

盗電の分の電気代はどうなるか?

続いては盗電の場合です。盗電に関しては、自分以外の人間が不正に電気が利用しているわけですから、電気代を払わなくても良いような気がします。しかしこれも、原則的には契約をしているご自身が電気料金を支払わなくてはなりません。

しかし電気を盗んだ犯人が誰なのか、どれくらいの電気を盗んでいたのか、どの程度の期間電気が盗まれていたのかなど、電気を盗んだ相手について詳細が特定できれば、その相手に対して損害賠償請求を起こすことができます。その場合、増えた分の電気代はもちろん、調査などの費用なども請求可能になる可能性は高いでしょう。もちろん盗電をしていた本人は、窃盗罪で捕まることになります。

とは言え、盗電の犯人の特定や、どれくらいの電気が使われていたのかということを正確に調査するのは、大変難しいことだと思われます。またその後民事裁判もあるわけですから、盗まれてしまった電気の分の電気代を取り戻すには、それなりに長い期間がかかってしまうでしょう。

そういった事を踏まえますと、盗電に関しては他人に使われてしまった電気代を取り戻すことは全く不可能では無いけれども、実際に取り戻せるかどうかはそれなりの時間と費用がかかる、という事になってしまうかと思います。

最後に

今回は漏電と盗電のそれぞれの場合で、使った電気代金は支払わなくてはならないかどうか、という事で書いてきました。漏電はほぼ完全に自分で支払わないとなりませんし、盗電も基本的には自分で支払わないとなりませんが、犯人さえ特定できれば、時間はかかるけど、支払った電気代は取り戻すことが出来るという結論になります。

盗電や漏電には、最大限気をつけておかないとならないでしょう。普段から電気料金明細書を注意して良くみて、漏電や盗電と思われる大量に電気消費が見つかったら、すぐに原因を探して対策をする事が大事です。また盗電などは、特に家の外にコンセントなどがある時は、専用のカバーなどをして、簡単に利用できないようにするなどの対策をしておくことが必要だと言えます。