多くの方がまだご記憶だと思いますが、2019年は台風による被害が非常に印象的な年でした。9月の台風15号、10月の台風19号など、非常に広い地域で多くの被害が発生いたしました。その中でも9月の台風15号では、千葉県を中心に非常に多くの停電被害が発生いたしました。
この度経済産業省資源エネルギー庁のホームページにて、長期停電が何故起きたのか、どう対策していくべきなのか、という事が公開されています。少し長いですが、引用していきたいと思います。
経済産業省資源エネルギー庁:「台風」と「電力」?長期停電から考える電力のレジリエンス
台風15号の停電が長期化した原因はいくつかあります。まず、記録的な暴風にともなう倒木や飛来物によって電柱の破損や倒壊が起こり、それによる断線がとても多かったことです。2018年の台風21号は、最大停電件数で見れば今回の被害を上回っていましたが、破損や倒壊した電柱は1,343本でした。その一方、台風15号では1,996本と約1.5倍になっています。
倒木は電柱破損の原因となっただけでなく交通の妨げともなり、倒木で立ち入りが困難な地域の被害確認や復旧作業には時間がかかることとなりました。
立ち入りが困難な地域では巡視を十分におこなうことができず、そのため復旧見通しの公表が遅れることとなりました。また、情報が不足していたことから、当初は過去の台風被害に照らし合わせて復旧見通しを作成しましたが、予想以上の被害状況が明らかになるにつれて、たびたび訂正されるなどの事態も発生しました。さらに、電力会社の発表では停電が解消しているエリアとなっているものの、個別の地域や住居などを詳細に見ていくと停電が解消されていないところがあるという点については、いわゆる「隠れ停電」として報道されました。
リンク先に画像が掲載されていますが、やはり最大の原因となったのは、電柱の破損や倒壊だったようです。そして電柱が倒壊するほどの強力な風だったということは、多くの樹木の倒壊などを招き、結果として被害地域への立ち入りも困難になってしまったという、いわば二重に被害が発生してしまった、ということが大きいようです。樹木の多い山間部だったことも、余計に被害を広げる要因だったと言えそうです。
「隠れ停電」ですが、電柱などの送電線などは復旧をしていても、そこから各家庭に繋がっている線、あるいは家庭内の配線などが切れてしまっている状況のことです。こうした停電には個別に対応していくしか無いのでしょうが、まずは大規模な送電線の修理がどうしても優先されてしまいますので、なかなか手が回らないというのは今後の課題になっていくでしょう。
特に山間部、森林部などでの災害時になかなか入ることが出来ないようなところでの被害を確認する方法は、考えていかなければならないでしょう。今回の資源エネルギー庁のホームページでは、ドローンやヘリコプターなどを活用していきたいとしています。
そこで期待されるのが、カメラを搭載したドローンやヘリコプターの活用です。被害が広域にわたる場合には、衛星画像などのデータやAIも活用して、早期に精度の高い見通しを立てる工夫も考えられます。また、内閣府が中心となって構築している「防災情報共有プラットフォーム」に、停電復旧見通しに関するデータを連結することで、関係者間のスムーズな情報共有をおこなうことも求められます。こうした取り組みにより、さらに精度の高い復旧見通しを算出し、情報の共有・発信ができる体制を整えていきます。
特に台風に関しては、近年その大型化が目立ってきています。また台風は毎年のように日本にやってきます。「数十年に一度」という規模の台風が、連続してやってくる可能性も全く無いとはいえない状況になってきています。様々な組織や機関が綿密に連携して、情報を素早く共有し発信していくことが、これからの災害対策として必要になってくることでしょう。