はじめに
一般家庭用の電気は50kW未満の「低圧電力」です。一方企業や工場、大型の施設などでは50kW以上の「高圧電力」が利用されます。一般に電線には6600Vの電圧の電気が流れていますが、高圧電力契約の場合はその電気をそのまま引き込み、変圧器や変圧施設などで変圧を行って利用します。一方低圧電力の場合、電柱上にある変圧器を用いて100Vあるいは200Vに変圧し、それを引き込んで利用します。
今回は企業や工場などで利用される「高圧電力」について、電気代がどのようにして計算されるか、書いていきたいと思います。電気代の計算方法についてはすでに何度も書いてきていますので、すでにご存知の方も復習のつもりでお読みください。
電気代の内訳
まずは電気代の内訳についてです。この図もすでにお馴染みのことかと思います。
電気料金=基本料金 + 電力量料金 + 再生可能エネルギー発電促進賦課金
電力量料金
まずは電力量料金についてです。これは更に次のようにして表すことが出来ます。
電力量料金=(電力料金単価 × 使用量) + (燃料費調整単価 × 使用量)
この中の「燃料費調整単価 × 使用量」を別に「燃料費調整額」と呼びます。これは火力発電のために利用する、原油や石炭などを購入・輸送するための費用です。現在の日本では多くの原子力発電所が稼働していないために、火力発電に頼らざるを得ません。そのために必要となってくる費用です。
再生可能エネルギー発電促進賦課金
次は再生可能エネルギー発電促進賦課金です。これは太陽光発電や風力発電など、いわゆる「再生可能エネルギー」を発展・普及させるために必要な費用です。またこの再生可能エネルギー発電促進賦課金の内訳は、以下のようになっています。
再生可能エネルギー発電促進賦課金=再生可能エネルギー発電促進賦課金単価 × 使用量
この再生可能エネルギー発電促進賦課金も先程の電力量料金も、どちらも電気使用量に比例して増えていく、という事がおわかりいただけるかと思います。
電気代基本料金
そしてもうひとつが電気代基本料金です。電気代基本料金の内訳は以下の通りです。
電気代基本料金=基本料金単価 × 契約電力 ×(185-力率)/100
「(185-力率)/100」の所は「(1.85-力率)」にしても構いません。それぞれを詳しく見ていきましょう。
基本料金単価
「基本料金単価」は、各電力会社ごとに設定されている、電気1kWごとの単価となります。この単価に関しては、ホームページなどで公開されている所もあれば、非公開となっている所もあります。非公開になっているといっても、完全に秘密というわけではありませんので、問い合わせてみれば答えてくれるでしょう。
契約電力
続いて「契約電力」です。高圧電気の場合、「契約電力」を決定するための方法が二種類あります。一つは年間の「最大需要電力」が500kW未満の場合です。年間の「最大需要電力」が500kW未満の場合、「実量制契約」という方式が用いられます。一方、年間の「最大需要電力」が500kW以上となった場合、契約電力は電気会社との協議によって決定されます。
そもそも「最大需要電力」とは何でしょうか?現在電力会社では、30分ごとに電気の平均利用量を計測しています。そしてその「30分ごとの電気の利用量」を比べていき、その中で最も高い値となった所がその月の「最大需要電力」となります。その値を更に年間で比較して、年間の「最大需要電力」が決定されます。そうして電気利用者が利用した「最大需要電力」を元にして、契約電力が決まります。
ここでポイントとなるのは「年間の最大需要電力」という考え方です。普段どんなに電気を使わないようにしていても、とある月のとある日のほんの30分間だけ大量の電気を使ってしまったのであれば、そこが「最大需要電力」となってしまい、それだけ契約電力が上がってしまうのです。
力率
続いて「力率」についてです。「力率」とは簡単に言うと、電気がどれだけ利用されたのか、という事を表す指標です。電力会社は企業や工場などがキチンと動けるように、一定の電力供給を保証しています。そのためにあまりにも電気使用量が少なくなってしまうと、電力会社から見た場合、収益に合わなくなってしまうのです。そのため、電気使用量が少ない場合、逆に電気代が高くなってしまうような仕組みになっているのです。
具体的には契約した電気量の85%未満しか使っていないのであれば、電気代が割高になってしまう計算になります。つまり力率だけを考えた場合、節電をするというような行為は逆に電気代が高くなってしまうという事になります。もちろん実際に節電を行えば、電力量料金や再生可能エネルギー発電促進賦課金が下がりますので、それほど大きな影響が出ることはありません。
以上が電気代基本料金の内訳となります。
最後に
このように電気代には、実に多くの要素が含まれています。ですから単純に電気代を安くしたい、と思って節電をしても、力率という事で考えた場合、実は電気代が高くなってしまっているというケースが十分考えられます。また燃料費調整額や再生可能エネルギー発電促進賦課金も、時と場合によって頻繁に値上がりしたり値下がりしたりする、不安定な要因です。
確実かつ簡単に電気料金を値下げしたい、と考えるのであれば、特に製造業や工場などであれば、新電力を利用して電気代基本料金自体を値下げするのがもっとも確実でしょう。
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