本格的な夏も終わり9月となった現在でも、新型コロナウイルスの影響はまだまだ収まる所を知りません。もちろん感染症自体も私達に大きな影響を与えましたが、それ以外にも経済活動が大きな打撃を受けてしまいました。製造業、販売業、流通業など、ありとあらゆる業界で、大幅な減収減益が起きてしまった事は、否定できないかと思います。
しかしここに来て、その動きに少し変化が起きてきています。実は家電量販店が、5月以降になってから売上を伸ばしている所があるのです。
家電Biz:新型コロナウイルスの影響下でも家電量販店は売上増 時短や休業にも関わらず5月売上は前年実績を上回る
月次の売上情報を開示している家電量販企業は4社。ケーズホールディングス、エディオン、コジマ、ビックカメラである。4月の売り上げはコジマが前年同月104.5%と伸長したものの、その他の3社は前年割れだった。
5月も月初から非常事態宣言が継続されており、業績は厳しくなると思われていた。しかし、ケーズホールディングスは前年同月比121.9%と前年同月実績を大きく上回った。エディオンも同107.9%と伸長。コジマは同119.5%と2桁伸長で、逆境下にも関わらず2カ月連続の前年同月実績プラスとなっている。
一方、ビックカメラの5月売上は前年同月比71.8%で2月以降、4カ月連続で前年同月実績を下回った。
もちろん売上を落としている所もありますが、売上が上がったところが多くあるという見方も出来ます。これには様々な原因があると思われます。
商品別の売上動向は各社によって区分が異なっているが、全体傾向として見るとパソコンや情報機器は、テレワークやオンライン授業の需要急増を受けて非常に高い伸びを示している。
ケーズホールディングスの5月のパソコン・情報機器売上は前年同月比182.0%で、4月も同173.4%と高い伸びを示した。コジマもパソコン本体のみでは4月が同165.3%、5月が同175.9%と伸長。コジマでもパソコンやタブレットが好調に推移したという。パソコン以外で好調に推移した商品としてプリンター、無線LANルーター、ウイルス対策ソフト、電源タップを挙げている。まさに自宅でオンライン作業を行うために必要な商品群だ。
ステイホームにより自宅で仕事をせざるを得なくなってしまったため、そのために必要なパソコンやウェブカメラ、その他関連製品などの売上が増えたからという見方もあります。またその一方で一人10万円の特別定額給付金が、家電製品の購入を促しているという見方も出来るようです。
Note:コロナ下、動き出す消費、給付金で家電・自転車、在宅勤務でスーツや化粧品は低調。
週末のケーズデンキ水戸本店(水戸市)では、高額家電を買い求める家族客の姿が目立った。20万円前後の製品もあるドラム式洗濯機の販売量は2倍以上となり、同店の売上高は前年同月の週末に比べ4割増となった。
小売業では6月に入り売上高が急回復する企業が増えている。
自転車販売のあさひの6月の既存店売上高は前年同月比41%増と、5月の同9%減からV字回復した。10万円の給付金で「消費者に多少購買の余裕ができ、機能性が高い自転車を買う人が増えた」(同社)ことで、価格が一般自転車の3~4倍する電動アシスト自転車が好調だった。
ずっと家にこもっていないとならないため、空調設備の買い替え需要があったようですし、また健康のために自転車などを買い求める人もあったようです。そういった様々な需要のおかげで、家電量販店の売上が上がったようです。
しかしそうした一方で、当然ながら売上の下がった物もあるはずです。また生産活動が出来ずに、機会損失があった物もあるでしょう。それを考えると、単純に家電製品の売上が上がったからといって、喜ぶことは出来ません。
新型コロナウイルスが完全に収まるまでは、可能な限り感染のリスクを減らしつつ、経済活動も行っていかなければなりません。どちらか片方だけでは無く、両方行っていかないとならないでしょう。そうした中でも、何らかのチャンスは必ず巡ってくるはずです。そうしたチャンスを逃さないようにしていく事こそが、今一番大切なことだと思われます。