早いもので、2020年もあと一ヶ月となりました。今年は特に新型コロナウイルス感染症で一年が終わってしまった、という方もいらっしゃるのでは無いでしょうか。それくらい世界に大きな影響を与えた騒動だったと思います。2019年にこの騒動を予想できたという人は、おそらくいなかったのでは無いでしょうか。
工場電気ドットコムでは、2019年11月末に「2020年電気代金大予想」という記事を書きました。そこでは「2020年は電気代が値上げする可能性はかなり高いと考えることが出来ます。」として、締めくくっています。実際に今年は電気代は値上がりしたのでしょうか?
既にご存知かと思いますが、実際には2020年は電気代はかなりの値下がりとなりました。原因は新型コロナウイルスにより多くの経済活動が停止し、それに伴って原油価格が暴落したからです。実際に2020年の燃料調整単価の推移を見ると、企業向け高圧電気では1月に-1.99円/kWhだったのが、12月分では-4.84円/kWhになっているのが、わかるかと思います。
2019年は-0.64円/kWhから-1.93円/kWhという推移だったのと比べると、実に3円近くも安くなっています。つまりそれだけ電気代も下がった、という事になります。
また本来であれば今年は「発送電分離」がスタートし、さらに東京オリンピックも開催されるはずでした。しかし御存知の通り、東京オリンピックは現段階では2021年に「延期」となっています。「発送電分離」は予定通り行われましたが、それ自体は電気代に大した影響を与えるわけではありません。
いずれにせよ、2020年の電気代予想についてはハズレてしまったわけです。これに関しては、新型コロナウイルスの影響もあったのですが、まだまだ勉強が足りないなと思う次第であります。
さてそれでは2021年の電気代はどうなるか?という事になります。もちろん2020年の予想を外してしまったのですから、予想してもしょうがないというご意見もあるかもしれません。いずれにせよハッキリとしているのは、新型コロナウイルスがどうなるかで電気代が変わってくるということでしょう。もし新型コロナウイルスが現在のまま広まり続けるのであれば、現在同様に原油価格が下がり、電気代も下がっていくかあるいは現状のレベルとなっていくでしょう。しかしワクチンなどが開発され、新型コロナウイルスの流行が下火になれば、当然経済活動も再開いたしますので、原油の需要が増え、原油価格が上がります。それは結果として、電気代の値上がりにつながります。
また東京オリンピックも、現段階では「中止」ではなく「延期」となっています。開催となった場合、会場に大量に人を入れることはまだまだ難しいでしょうから、テレビなどでオリンピック中継を見るということになります。そうなると一度に大量の電気が使われることになりますので、メンテナンスなどの問題も出てくるかもしれません。そうした自体に備えて、その分の費用をなにかしら上乗せしてくる、という事は十分考えられます。
また菅首相が唱えた「脱炭素社会」のために、再生可能エネルギーをより発展させようという動きも出てくるでしょう。本来であれば二酸化炭素を出さない原子力発電所を再稼働させれば安い電気を大量に利用できるのですが、まだそうした流れには行きづらいと思われます。となると再生可能エネルギーの発展のために、再生可能エネルギー発電促進賦課金を値上げしてくる、ということも考えられます。
とにかくこうした「電気代値上げ」の要因はいくつか思い浮かぶのですが、「電気代値下げ」の要因はあまり思いつかない、というのが現状でしょう。そもそも今年の電気代が値下がりをしすぎたので、それ以上は下がりづらいとなるのはある意味当然かもしれません。しかし新型コロナウイルスのような不確定要素が出てくる可能性もあるので、そうそう断定はできないといった所でしょうか。
とにかく新型コロナウイルスが少しでも早く収束を迎えて、2021年はいつもどおりの年になるといいですね。