EUが原発を「グリーンな投資先」と認定

共同通信:原発「グリーンな投資先」と認定 EUが方針、低炭素移行で役割

【ストラスブール(フランス東部)共同】欧州連合(EU)欧州委員会は1日、原発を天然ガスと共にグリーンな投資先として認定する方針を発表した。2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする目標に向け、低炭素社会への移行を促進する手段としての「役割がある」とした。

今年1月2日のニュースです。ヨーロッパが原子力発電所を「脱炭素に一定の役割がある」と評価したのは、かなり大きなポイントだと言っていいでしょう。しかし同時にこの流れは、ある意味では当然のことだったとも言えます。

「脱炭素」とはつまり温暖化ガスを排出しないということになります。現状もっとも多く温暖化ガスを排出するのは、主に火力発電です。となれば火力発電は「脱炭素」の選択肢からは、おのずと外れます。他にもバイオマス発電なども、少量ですが温暖化ガスを発生させます。そこで再生可能エネルギー発電の出番となるのですが、残念なことに再生可能エネルギーでは安定した大量の電気を作り出すことはなかなか出来ません。例えば太陽光発電であれば、一日の半分つまり夜間は発電ができませんし、また風力発電も風が無い時には発電ができません。水力発電であればある程度安定した発電量を期待することは出来ますが、しかし水力発電に必要なダムを作るためには広く山林などを開発しないとなりません。一度作ってしまえばいいのでしょうが、作るまでに多くの温暖化ガスを排出することとなります。

そのように考えていくと、「脱炭素」を目標とする以上は「原子力発電」に頼らざるを得ない、という結論になります。もっともこれは私が考えたことでは無く、すでに多くの方々からの指摘があったところとなります。特に日本では原子力発電所へ対するイメージが悪いものになってしまっていますが、現実に即して考えていくと、「脱炭素」を目指すのであれば、原子力発電所の利用は当然のことだと言えます。

おそらく日本も近々この流れに乗ってくるのでは無いか、と思います。現在日本では原子力発電所のほとんどが、稼働を停止してしまっていますが、そのために冬の電力確保として大量の原油やLNGを確保しておかないとならなくなっています。しかし原子力発電所が稼働を再開すれば、そうしたエネルギー確保の心配はなくなりますし、私達の電気代にそうした燃料費用が上乗せされる事もなくなり、電気代の値下げが期待されます。

「環境保護」「脱炭素」はもちろん私達が考えていかないといけない、重要な問題の一つです。しかしそれを実現させるための方法は、可能な限り現実に即して尚且私達に負担の少ない方法にならざるを得ません。「脱炭素」のお題目のために、例えば石油ストーブをやめて薪ストーブを使うというのは、本末転倒なことだと言わざるを得ないでしょう。

2022年、脱炭素の動きがどうなっていくのか、見守っていきたいと思います。