この十数年ほど、日本の多くの工場・製造業が海外進出を続けています。なぜ工場が海外進出するのでしょうか?その理由は様々ですが、おおよそ以下のような理由があると言われています。
- 人件費や原材料などが安いため
- 販路拡大のため
- 税率が低いため
などの理由から、近年多くの製造業が海外に進出しています。やはり最も大きいのはコスト面からの理由のようですね。もちろんこれは企業にとっては、大きなチャンスであったと言えるでしょう。
もちろん海外に進出して、成功した所ばかりではありません。中には大手企業であっても失敗してしまった所もあります。例えばソニーは、2005年から稼働していた中国の工場を、2016年に売却することを決定しました。これは中国経済の失速を受けてのことです。こうした外国の経済の動きにより撤退を決めたところもあるでしょうし、また文化や習慣の違いなどから、上手くいかなかったところもあるでしょう。
成功も失敗もありますが、こうした海外進出の結果として日本国内の多くの工場が海外に進出、あるいは製造を海外に外注するようになってしまい、日本の製造業が衰えてしまった事は否定できません。製造業は特に技術力が大事なのですが、そうした技術力の継承なども行えないような状況になっていたのです。
しかし近年、この傾向が変わりつつあります。「製造業の国内回帰」とでも呼べるような現象が起きてきているのです。大手メーカーの中で、海外で生産している部品や製品などを、再び国内生産に切り替えるところが増えてきているそうです。
こちらの記事では、キヤノンやパイオニア、ダイキン工業などが海外にあった工場を、国内の工場へと転換したと書かれています。
こうした工場の国内回帰の理由は考色々と考えられていますが、最大の理由は「円安」だと言われています。確かに一時にくらべ、かなりの円安が進んでいます。円安が進むと海外の人件費が高騰してしまい、国内での人件費が安くなってしまいます。結果として国内の工場で生産をした方がコストカットに繋がる、という事になりますね。
また上にも書きましたが、文化や習慣の違いから海外の工場を閉鎖することもあるようです。特に日本人は製品の質や、時間を守る事などには特に意識が高いですが、他の国で同じような事を求めても、上手くいかない事が多いようです。
こうした工場の国内回帰の動きは、一時的なのではないか、という指摘もあります。いずれにせよ、日本の工場・製造業が見直されるということは、とても良いことです。これで日本の工場がかつてのような活気を取り戻せればベストなのでしょうが、さすがにそこまでは少し難しいかもしれません。実際工場の海外への移転は、まだまだ続いています。
ただ一時期とは違って、流れは変わってきているようです。工場の皆様はこれをチャンスとして、日本の製造業の技術と信頼性を、再度発揮していけばいいのでは無いでしょうか。そうして日本の製造業が再び脚光を浴びれば、仕事も増えてくるでしょうし、また新しい人材も入ってくるかもしれません。そうした動きに期待していきましょう。