再生可能エネルギーは高いのか?安いのか?

地球温暖化問題に端を発した「脱炭素」の概念も、ここでかなり浸透してきた感があります。もちろん地球温暖化は取り組まないといけない問題ですし、その対策としての脱炭素も進めていかないとなりません。しかし脱炭素を実現させるために必要無こととして挙げられる「再生可能エネルギー」については、それこそ「再生可能エネルギーは万能で安いエネルギーだ」というような誤解が、いまだに多く広まっているように思います。

もちろん再生可能エネルギーの普及と発展は、私達が取り組んでいかないといけない事の一つです。しかし現状まだまだ多く発展の余地を残している、つまり発展途上にある技術だと言えます。その理由の一つとして、再生可能エネルギーは実は「高い」という事が挙げられます。

世界を変える!?再生可能エネルギー:日本の再エネはなぜ高い?

リンク先を読んでいただきたいのですが、日本で再生可能エネルギーが高いのにはいくつかの理由があります。

  1. 未成熟なマーケット
  2. 適地の不足
  3. 災害への備え
  4. その他(制度・仕組みの違い)

以上4項目があげられています。この中でマーケットについては、いずれ解消されていくのだと思いますが、特に注目したいのは「適地の不足」と「災害への備え」です。

特に太陽光発電などは広い平野が必要です。例えばアメリカや中国など、広大で現在あまり利用されていないような平野がふんだんにあるような国であれば、太陽光発電パネルを大量に設置できます。しかし日本はご存じの通り、その面積の75%が山地です。森林や急斜面が多い土地柄である以上、山林には基本太陽光発電パネルは設置できませんし、また太陽光発電パネルを設置できるような平野には、人が多く住んでおり、改めて太陽光発電パネルを設置することは難しくなっています。

災害への備えは、気象条件の問題にも通じてきます。日本は毎年ほぼ必ず台風が上陸してくる環境にあります。台風などの強風では、太陽光発電パネルなどはよほどしっかり設置しないと、飛ばされてしまいます。また地域によっては冬に大雪も降りますので、雪が積もった太陽光発電パネルでは発電も出来ません。そうした災害への備えがコストとして、どうしても再生可能エネルギー費用に上乗せされます。

そもそも日本は日照時間がそれほど多い国ではありません。梅雨もありますし冬になれば雪も降ります。そうした環境で太陽光発電パネルによる発電を期待するのは、実はそもそも合っていないといえるでしょう。

太陽光発電だけでは無く、他の風力発電や地熱発電なども、実は似たりよったりで、日本ではあまり適していないと言えます。もちろん日本に適した再生可能エネルギー発電があれば上手くいくのでしょうが、なかなかそうした発電はありません。

この辺りの事情は、資源エネルギー庁のホームページにも書かれています。

経済産業省 資源エネルギー庁:資源エネルギー庁がお答えします!~再エネについてよくある3つの質問

まず、再エネには、ほかの電源よりも発電コストが高いという問題があります。世界には、自然の条件に恵まれていて多くの電気を発電できる、機器の調達や工事を効率的におこなっている、労働力の単価が低いなどの理由から、再エネの発電コストを安くおさえることのできている国もあります。中には、1kWhあたり約3円という安値も実現されているほどです。

ただ、太陽光発電の発電量を左右する「日照」、あるいは風力発電の発電量を左右する「風況」は、国によって事情が違います。また、平野部が少ないといった日本ならではの地理的な問題があります。こうしたことが、日本における再エネ発電コストの低減をむずかしくする原因のひとつとなっています。

だからといって、再生可能エネルギー発電をあきらめてしまうのは、問題外です。日本でも再生可能エネルギー発電をより安く効率的に行っていくために、改善できるところは改善していくべきでしょう。しかしこの研究にはまだまだ時間がかかります。十分満足な再生可能エネルギー発電ができるまでは、原子力発電や火力発電などの力を借りていかないといけません。現実を見つつ改善できるところは改善していき、利用できるものは利用していく、そうしたしたたかさが必要となってくるでしょう。