世界各国が原子力発電に力を入れている理由とは?

原子力発電といえば、原子炉で発生させた熱エネルギーを使い水を沸かし、その蒸気によりタービンを回転させ、大量の電気を発電する方式の発電です。この原子力発電のメリットは、なんといっても大量の電気を安定して発電できるということでしょう。また燃料費もそれほど必要としないことからコスト的にも優れており、更に温暖化ガスを全く出さないので環境にも配慮した発電方法だと言うことが出来ます。

しかし日本では御存知の通り、2011年に発生した東京電力福島第一原発事故により、現在そのほとんどの原子力発電所が稼働停止してしまっています。そのために大量かつ安定した電気を供給する、という電気インフラにとって最大のメリットである部分がなかなか実現できず、常に電気供給不足の危機にさらされている状態となっています。

ところでこうした原子力発電所を停止するという流れは、果たして世界ではどうなっているのでしょうか?実は世界各国を見ると、日本とは真逆に原子力発電所をどんどんと利用していこうという流れになっています。

電気事業連合会:[米国] 米バイデン政権初の予算教書、過去最高額の原子力予算を計上

米国は、「地球温暖化防止と高サラリーの雇用創出に重要なエネルギー技術の研究開発と実証で、世界を牽引する」と強調した。
DOE予算のなかでも、地球温暖化防止に資する原子力エネルギー局(NE)の予算額は過去最高の18億5,000万ドルを計上。
DOEによれば、米国の原子力発電所は国内の総発電量の5分の1、無炭素電力については半分以上を賄うなど、クリーンエネルギーを主流とする米国の将来の重要部分を担っている。
このためバイデン政権は、NEが実施する既存の原子力技術と先進的原子炉技術の支援で、前年度の予算額から23%増の金額を計上した。
このうち10億ドル以上が原子力技術の研究開発および実証プログラム(RD & D)のための予算で、この中から2億4,500万ドルを投じて6年以内に2つの先進的原子炉技術の実証を支援する。
官民のコスト分担により先進的な小型モジュール炉(SMR)を開発するほか、既存の商業炉で材料物質の経年劣化や安全裕度、計装・制御(I&C)系等に関する研究を実施し、運転期間の延長や経済的競争力の強化を図る。

REUTERS:原発、今後も長期的に利用する=仏ポンピリ環境相

フランスのポンピリ環境相は15日、国営ラジオ・フランスで、同国が今後も長期的に原発利用を続けるとの認識を示した。フランス電力(EDF)が中国の台山原発での放射性希ガス放出に関連する潜在的な問題について検証したことを受けて発言した。

ポンピリ氏は、原発が仏国内の電力源の70%を占めると指摘。「今後も長年にわたり原発を使い続ける」と話した。

どちらも最近あったニュースなのですが、アメリカもフランスもこれからも原子力発電を使い続ける、という意味合いの発言になります。しかしこうした発言から、日本以外の世界ではまだまだ原子力発電を主流として使い続けていく、という事を読み取ることが出来ます。

もちろん原子力発電は事故などを起こすと大変なことになる、という事を私達は知っています。しかしそうしたリスクを踏まえても、使い続けるメリットが大きすぎるというのもまた事実だと言えるでしょう。特に再生可能エネルギーは、「安定」して「大量」の電気を発電するという事に、実は向いていません。補助的に使うのであれば有効なのですが、24時間365日メインとして使い続けるには、まだまだ問題が多いというのが事実です。「メリット」と「デメリット」を比較するというのが大切だと言えます。

確かにこのまま原子力発電を使い続けることには不安がある、という方も多くいらっしゃるでしょう。しかし今現在安定して大量の電気を使えるようにするには、原子力発電が必要不可欠です。そして現代の私達の生活には、大量かつ安定した電気がどうしても必要なのです。

いずれ大量の電気を発電できるようになる再生可能エネルギーが発明されれば別ですが、それまではまだしばらく原子力発電を使い続けることが必要でしょう。