五輪の聖火に使われている意外なモノとは?

東京オリンピックも連日盛り上がりを続けています。日本人選手のメダルはもちろん、各国代表選手の活躍に、皆さんも心躍らせているのでは無いでしょうか。ところでオリンピックといえば聖火ですが、現在聖火はお台場にある「夢の大橋」に設置されている、聖火台にともされています。ところでこの聖火は大会中常に燃え続けてないとなりません。そうなると一番心配なのは燃料ですが、一体何を使っているのでしょうか?

実は現在新しいエネルギーとして期待されている「液体水素」が、聖火を燃やすためのエネルギーとして利用されています。

電気新聞:東京五輪が開幕/聖火燃料に水素、ENEOSが供給

第32回夏季五輪東京大会が23日、1年の延期を経て開幕した。お台場と有明に架かる夢の大橋(東京都江東区)では開会式で灯された聖火が国立競技場から移され、多くの競技会場がある臨海部を照らしている=写真。聖火の燃料には大会史上初めて水素を使用した。長時間の燃焼に適した液体水素をENEOSが供給する。

「液体水素」とは文字通り、液化した水素のことです。マイナス250度という低温で液化しているのが大きな特徴となります。この液体水素は主にロケットなどの燃料として利用されていました。近年では水素は石油や天然ガスに代わるエネルギーとして、注目を集めています。その水素を輸送する際に、温度を下げることで液化させ、タンカーなどで輸送するのです。この辺りのことについては、以前も工場電気ドットコムのコラムで、何度か取り上げたことがあります。

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液体水素は他にも、燃料電池などに使われています。遠からず水素による発電も、発電方法の主力となる日が訪れるでしょう。発電の選択肢は、多ければ多いだけいいと言えるでしょう。太陽光発電や風力発電などでは、発電できる時とできない時があります。できない時に代わりに何を利用するのか、どうやって安定して大量の電気を発電していくか、という事はとても重要な問題です。単純に再生可能エネルギーだけを利用していけば全て解決する、という問題では決してありません。

そうした事を踏まえると、今回のオリンピックにおいて聖火の燃料として液体水素が使われている、というのは今後を期待させる象徴的な事のように思えます。ぜひとも液体水素、あるいは水素による発電がより発展していき、発電の選択肢が増えていくように願います。