福井県美浜原発の再稼働について

4月末の事になりますが、以下のようなニュースが入ってきました。

日本経済新聞:40年超の原発再稼働へ 全国初、福井県知事が同意

運転開始から40年を超える福井県内の原子力発電所3基を巡り、同県の杉本達治知事は28日午前、再稼働に同意すると表明した。再稼働に必要とされる地元同意の手続きが完了した。東京電力福島第1原発の事故を受けて「原発の運転期間は原則40年、最長20年まで延長可能」とするルールができて以降、全国で初めて40年を超える原発が再稼働する。

既にご存知のとおり、現在日本にあるほとんどの原子力発電所は、稼働停止状態にあります。つまり発電をしていない状態ということです。それまで日本の電気のほとんどを賄っていた原子力発電所が一斉にストップしている状態なので、どうしても慢性的な電力不足状態になってしまっております。それを解消するために、すでに耐用年数を越えてしまったような火力発電所なども動かして、電気を供給しているのですが、それでもまだまだ電気が足りないといっていい状態です。

電気が足りないという事はどういう事かというと、何かちょっとしたトラブルで、大規模な停電が発生する可能性があるという事になります。実際に2020年末から2021年初頭にかけて、まさにいつ大規模停電が発生してもおかしくない状況になっていました。これは現在の火力発電の主流になりつつあるLNG発電の燃料となる天然ガスが不足した事が大きな原因の一つですが、そもそもの原因としては電気そのものが足りない状況にあったから、という事に他なりません。

特に真冬に太陽光発電で安定した電気を供給するのは、なかなか難しいという問題があります。日照時間がただでさえ短い事に加えて、雪などの影響で発電可能時間が少なくなってしまうからです。いつ大規模停電が発生しても、おかしくない状態が続いていたといえるでしょう。

そうした流れの中で美浜原発が再稼働する、というのはかなり大きな出来事だと言っていいでしょう。原子力発電は安定して大量の電気を作り出すことが出来る発電です。また火力発電などと違って、温暖化ガスを排出しないことも最大の特徴として挙げることが出来ます。原子力発電所が再稼働をしていれば、2020年末から2021年初頭の大規模電力不足は起きていなかったといえるでしょう。

ところで上に紹介した記事では、美浜原発を「運転開始から40年を超える」と紹介しています。それはもちろんその通りなのですが、しかしそう書かれるとなんだかものすごく古い物をおっかなびっくり再稼働するのでは無いか?というイメージを持たれる方が少なくないのでは無いでしょうか?確かに美浜原発は運転をスタートしてからは40年以上となりますが、実はごく最近大規模なメンテナンスをしており、ある意味ではかなり若い原子力発電所に生まれ変わっているのです。

中日新聞:美浜3号で安全対策設備公開 地震、津波の新規制基準に対応

関西電力は九日、運転開始から四十年を超えての再稼働を目指す美浜原発3号機(美浜町)で九月に完成した安全対策設備を報道陣に公開した。津波防潮堤や事故時の対策本部となる緊急時対策所、要員が待機する免震事務棟などを設置し、東京電力福島第一原発事故後の新規制基準に対応したとしている。

関電は二〇一七(平成二十九)年六月から千六百五十億円を投じて対策工事を実施。3号機を囲う海抜五・五?六メートルの防潮堤を設置して四?四・二メートルの基準津波に対応したほか、最大加速度九百九十三ガルとされた基準地震動に耐えるよう原子炉内の機器を交換、使用済み核燃料プールの補強などを行った。老朽設備では中央制御盤を最新のデジタル式に替えるなどした。

緊急時対策所では空気ボンベやフィルター付きの換気設備を使って放射性物質が建物に入るのを防ぐ仕組みや、建物外に電源車を配備して電源を確保する対応などを説明。免震事務棟では地下の免震設備や医務室などを紹介した。

有料記事なのですが、公開されている範囲でも上のように最新鋭の設備に入れ替える工事などを行っていることが、ハッキリとわかります。もちろん事故などが起きた際などへの対応も行われております。「古臭い時代遅れ」では決して無い、ということが十分お分かりいただけると思います。

エネルギー問題、そして脱炭素社会など多くの事柄を解決するには、実は原子力発電所の再稼働がもっとも確実な方法です。もちろん原子力発電所にばかり頼るわけにはいきませんが、少なくとも現状では原子力発電所はまだまだ必要不可欠な存在です。そうした現実を踏まえ、冷静にかつ素早く原子力発電所の再稼働が進められることを見守りたいと思います。