続々と明らかになってくる太陽光発電関連のトラブル

先日のことですが、このような記事がネットにアップされました。

AERA dot.:太陽光発電、年間2.4兆円の国民負担も…コスパが悪すぎる実態

建設ラッシュが続く大規模な太陽光発電所「メガソーラー」。立地や自然破壊などを巡って、全国各地で地元住民たちによる反対運動が起きている。そんな中、太陽光発電そのものに対しても、性能や効率を疑問視する意見が出ている。

とても興味深い内容だと思いますので、是非全文読んでいただきたいのですが、その中で特に気になるのはこの辺りです。

「太陽光は自然変動型で、夜は発電できないし、天候にも左右されます。需要に合わせて供給できないところが最大の弱点です。電気は需給バランスが崩れると停電につながるので、太陽光の出力を調整するために火力を待機させておかなければなりません。(中略)」

中略

太陽光に偏った最大の原因は、12年7月に始まった再エネの固定価格買い取り制度(FIT)にある。FITは再エネで発電した電気を電力会社が決まった価格で買い取るシステム。FIT制度開始後、認定容量の80%を太陽光が占める。制度がスタートした12年、事業用の太陽光の買い取り価格は1キロワット時で40円。導入拡大を図るため、価格を高く設定したのだ。しかも、太陽光は20年間決まった価格で買い取る。事業者が太陽光に殺到したのはこのためだ。

工場電気ドットコムのコラムページでは、今までにも何度か書いてきた通り、太陽光発電は「不安定」な発電方法です。365日24時間、安定して発電をする事はほぼ不可能です。そして電気は需給バランスが崩れると、昨年夏に北海道で起きたような大停電に繋がってしまうのです。

しかしそれでも太陽光発電に多くの人が手を出したのは、「固定価格買い取り制度」があったからに他なりません。太陽光発電の普及のために設定した制度ですが、結果としてあまり好ましくない業者の参入も許してしまったと言えるでしょう。

この「固定価格買い取り制度」も、現状の電気料金値上げの原因の一つであることは間違いありません。私達の電気代に「再生可能エネルギー発電促進賦課金」が上乗せされてしまっているのです。更に現在は燃料費調整額も値上がりを続けていますので、電気料金の高騰はますます進んでしまっています。

太陽光発電には更に問題点があります。大規模な太陽光発電施設を作るためには、広大な土地が必要です。アメリカやオーストラリアなど、広大な平原が広がっているような土地柄であれば、それらを有効利用できるかもしれませんが、もともと広大な土地が少ない日本でそのような土地を作るには、山林などを切り開いて作るしかありません。

千葉県鴨川市では、事業面積250ヘクタールのメガソーラー計画が持ち上がっている。ビル20階相当の高さの尾根を削って、その土砂で谷を埋めるという。山形県大石田町にいたっては、450ヘクタールの山林を切り開き、出力10万キロワット時のメガソーラーを建設する計画がある。

自然に優しい」というイメージのある太陽光発電ですが、その施設を作るために山林を切り開いてしまっては、かえって自然破壊を促してしまっているとしか言えないでしょう。またこれも何度となく書いていますが、台風などのように強風が吹くと、太陽光発電パネルはそれにあおられて飛んでしまうという弱点もあります。飛ばないようにするためには、土台をしっかりと設置しないといけないのですが、利益優先の好ましくない業者にとっては、そのような所で無駄な費用はかけられない、というのが本音では無いでしょうか。

太陽光発電は、一時期は「夢のエネルギー」としてもてはやされていました。しかしここまで書いてきたように、実際にはそのような「夢のエネルギー」からはかけ離れている、という事がここ近年になって、ようやく分かってきました。もちろんだからといってすぐに廃止するのでは無く、より有効的に活用できる方法を模索し、より効率的な太陽光発電の運営方法を考えていくことが大事でしょう。そして同時に、一つの発電方法に頼らないようにする事も大事です。太陽光発電であろうが原子力発電であろうが、一つの発電方法に頼りすぎるという事は、もし何かあった時に代替手段が無くなってしまう、というリスクになってしまいます。

太陽光発電関連の様々なトラブルが明らかになってきたからこそ、今一度冷静になって太陽光発電のメリットとデメリットの両方を考えていくことが大事なのだと思います。