なぜ2021年に深刻な電力不足が起きているのか?

先日来お伝えしている通り、この冬は日本列島全国的に電力不足が発生してしまっています。なぜこのような電力不足になっているかというと、実に様々な原因があり、それらが複数絡み合った結果だと言えるでしょう。その原因を一つずつ見ていきたいと思います。

強烈な寒波による影響

特に2021年になってから、強烈な寒波の影響で日本海側は記録的な大雪となっています。もちろん日本海側だけでなく、太平洋側でも厳しい寒さに襲われ、場所によっては雪が降るといった形で影響が出てしまっています。こうした寒波などが訪れると、特に暖房などで電気が大量に使われるようになります。つまり電気の需要が大幅に増えるということになります。

火力発電の燃料となるLNGの不足

近年日本の火力発電で主流となりつつあるのが、LNG(液化天然ガス)を使った発電です。LNGは石油や石炭などと比べると温暖化ガスをあまり出さないため環境に優しい、ということで利用されています。しかしLNGは保存が難しいため、あまり大量に貯めておくことが出来ません。そうした状況に加えて現在LNGを運んでくる船の航路が渋滞してしまっている、という事態になっています。また一部の国のLNG生産施設でトラブルが発生してしまい、LNGが全体的に不足しています。そうした事態が重なってしまった結果、LNGが大量に不足してしまっているのです。

太陽光発電が役に立たない

電気が足りない場合には、一般家庭などの太陽光パネルで作られた電気を買い取るシステムがあるはずなのですが、御存知の通り太陽光発電は天気が悪い時には発電できません。そして先程も書いたとおり、日本には寒波がやってきています。太陽光パネルに雪が積もってしまうと発電はできませんし、そもそも冬は日照時間も短いので、太陽光発電はあまり役に立ちません。つまり外部から電気を購入することも難しい状況です。

原子力発電所がほとんど稼働していない

またご存知のとおり、現在日本にある原子力発電所はそのほとんどが稼働していません。もし現在原子力発電所が稼働をしていれば、大量の電気を安定して確保でき、電力不足も解決するはずなのですが、残念ながらそうではないのが現状です。

そして電力不足に

他にもいくつか要因は考えられますが、主だった原因は上に書いた4つになります。ではこれらの内のどれかを解決すれば電力不足が解決するのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれません。確かにどれか一つが解決すれば電力不足はそれなりに解消するのですが、実際にはそれは難しいといえるでしょう。

まず「天気」の問題に関しては、これは人間の力ではどうすることも出来ません。寒波を動かすことも出来ませんし、雪が降る以上は太陽光発電の発電量も下がってしまいます。ではLNGを大量に購入すればいいのでは?と考えるのは簡単なのですが、生産施設でのトラブルはこちらではどうにもならない問題ですし、それは海上の渋滞にも同じ事が言えます。

原子力発電所もすぐに動かすことは難しいでしょう。すでに10年近く止まっている発電所をいきなり動かすことは、かえって危険な事態を招く恐れがあります。準備が出来ているところでは少しずつ稼働を早めているようですが、せめてもう少し早いタイミングで再稼働が決定していれば、というのが大方の本音だと言えるでしょう。

まとめ

現状の電力不足で私達が出来ることは、まず電気をあまり使わないように「節電」をすること。そして少しでも早く稼働できそうな火力発電所などを稼働させて、発電をすることくらいしか無いかもしれません。

そして大切なことは、こうした事態が二度と起きないように考えていくことです。現状考えられる最善な方法は、原子力発電所を再稼働させることだけです。せめて再生可能エネルギーで大量な電気を安定して発電できるようになるまでは、原子力発電所に頼らないと、いつまた電力不足が起きてしまってもおかしくないのです。