現在大注目されている直流送電とは?

私達が使う電気は、まずは各地の発電所で作られます。それが変電所に集められ送電され、さらにいくつもの変電所を通り、最終的に私達の家庭やオフィス・仕事場に届くようになっています。つまり「送電」という仕組みが無ければ、私達のところには電気は届かないのです。この「送電」ですが、現在は「交流」という方法が利用されています。これは一定の周期で電圧のプラスとマイナスが変化している電気、という事になります。

良く「関東の電気は50Hz、関西の電気は60Hz」という言い方をしますが、この「Hz」という単位が電気の周波数であり、プラスとマイナスが変化しているという事になります。50Hzであれば1秒あたり50回プラスとマイナスが入れ替わる、60Hzであれば1秒間に60回入れ替わっている、ということになります。

ところで電気には「交流」の他にもうひとつ「直流」という物もあります。この直流は交流とは違い、電気のプラスとマイナスは常に一定となっており、変化しないのが特徴です。しかし現在送電ではこの直流は使われておりません。一体どうしてでしょうか。

単純に送電だけの効率を考えた場合には、交流よりも直流の方がロスなどが生じないために直流の方が有利なのですが、しかし「変圧」という事を考えると、交流の変圧器は直流より簡単に作ることができます。また交流の方が直流よりも、送電時に熱が発生しないという事などもあり、現在の送電は交流がメインとなっています。特に現在は電線で高圧電気を送電し、利用する各家庭や企業、オフィス、工場などで変圧をするために、変圧器が簡単に作れるという交流は非常に有利だったのです。

しかし近年、直流での送電が見直されるようになってきました。実は長距離でかつ大容量の電気を送電するのには、交流では無く直流の方が送電によるロスも少なく、最適なのです。では具体的に「長距離かつ大容量」の送電とは、一体どのような送電なのでしょうか?例えば離島への送電、離れた距離への送電、陸地から離れて設置されている洋上風力発電から海底ケーブルなどを利用した送電、などなどです。こうした送電に関しては、実は直流での送電の方が適しているのです。

現在技術が進歩してきており、直流での送電も容易に行えるようになってきました。もし日本の送電網全てを交流では無く直流にした場合、かなり大幅に送電ロスを減らせるのでは無いか?という計算結果も出ています。もちろん現在出来上がっている送電網を全て入れ替えることになるのですから、なかなか実現は難しいでしょう。しかしこうした直流の送電はこれからもどんどんと増えていくといえるでしょう。