三菱重工業が超小型原発を開発

発電するための設備というと、私たちはどうしても超大型のものを想像してしまいます。もちろん電気は「大量」かつ「安定」した発電が求められるため、どうしても大型になってしまうのは仕方ありません。しかし例えば太陽光パネルであればある程度の小型化が可能ですし、それを持ち運んで電気が届かないような所での発電も可能です、発電設備が小型化できれば、実に多くの可能性が広がるのです。そして先日、このようなニュースが流れました。

日本経済新聞:三菱重工、トラック輸送できる超小型原発 30年代商用化

三菱重工業はトラックで運べる超小型原子炉を2030年代にも商用化する。電気出力は従来の100万キロワット級の原子炉の2000分の1で、災害地域などでの脱炭素電源としての活用を見込む。小型原発は地下に埋めることができ、事故のリスクを抑えやすい。世界的な脱炭素シフトで原発を見直す動きが広がる中、「小型化」技術の裾野が広がってきた。

会員限定記事ですので途中までしか読めませんが、かなり色々な用途が思いつきます。三菱重工業については以前から小型原子炉の開発を進めていました。

三菱重工業:多目的利用を実現する一体型小型原子炉の概念設計を完了
市場ニーズを踏まえた社会実装の検討ステージへ

三菱重工業は、将来を見据えたカーボンフリー電源として多様なニーズに応える一体型小型原子炉の概念設計を完了しました。主要機器を原子炉容器内に統合することにより一体・小型化を可能にしたもので、加圧水型軽水炉(PWR)の技術、知見をベースに、小型炉特有の高い安全性を実現します。

これにより、小規模グリッド向けの発電用炉(30万kW級)や、離島向けモバイル電源や災害非常用電源などに適用する船舶搭載炉(3万kW級)への展開、さらに電源供給だけでなく動力や熱源利用といった多目的利用も実現可能です。これらの幅広い目的に対する市場ニーズの多角的な調査・分析を踏まえて、将来この成果が社会で実際の課題解決に貢献するいわゆる”社会実装”への道を探求していきます。

今回の超小型原発も、こうした流れの上にある物なのでしょう。もちろん安全性などは十分に考慮していると思われますし、この程度の小ささであれば何かあっても対応が比較的容易です。小型の原子炉については、以下のページにも詳しく書かれているので、ぜひご一読ください。

経済産業省資源エネルギー庁:原子力にいま起こっているイノベーション(前編)~次世代の原子炉はどんな姿?

最初の記事中にも書かれていますが、これだけ小型の原子炉であれば災害地などでの緊急用発電としても利用できます。また離島や山奥などの、なかなか電気が届かないような所にも安定した発電をすることが可能です。しかも原子力発電であれば温暖化ガスは排出しませんので、脱炭素の目標を達成することも可能です。

発電にはまだまだ多くの可能性があります。そうした可能性を少しずつ探っていき、新しい道を切り開くことこそが、今求められていることだと言えるでしょう。