とある町工場の挑戦 ~愛知ドビーとバーミキュラ~

先日のことですが、テレビ東京で放映されている「カンブリア宮殿」という番組を見ていました。
その時に紹介されていたのは「バーミキュラ」という鍋でした。
「バーミキュラ」とは、鋳物で出来たホーロー鍋のことです。この「バーミキュラ」、実は「水を使わなくても」野菜のスープなどが作れるそうなのですが、それがまたとにかく美味しいスープになるそうです。ちょっと興味がありますね。

私は知らなかったのですが、料理が好きな方たちの間では、7年前の発売から大評判になっていて、いまや世界中で大人気になっているそうです。更に入荷まで数ヶ月も待たされるという事もあるそうで、その人気ぶりが良くわかります。

さてなんで「バーミキュラ」の話をしたかというと、実はこの「バーミキュラ」は愛知県のとある町工場が生み出した商品なんだそうです。

この「バーミキュラ」を生み出したのは、名古屋市にある「愛知ドビー」という町工場だそうです。現在は兄弟で会社を経営されていらっしゃるそうです。もともとは機織りの機械などを作っているメーカーだったそうですが、90年代のお父さんの代になって、船舶の部品などを製造する下請け工場に方向を転換したそうです。しかし2000年ころかなり業績を悪化させていたそうです。その原因は、海外からやってきた下請け工場に仕事を取られたことだそうです。

そんな苦境を見て、お兄さんの方はそれまで勤めていた商社をやめ、愛知ドビーに入社されたそうです。そしてすでに愛知ドビーで働いていた弟さんと一緒に、なんとか工場を立てなおそうと奔走したのですが、それでも経営は一向に良くならず、このままだと倒産するまでになってしまったということです。

しかしふとしたきっかけから、鋳物ホーロー鍋の事を知り、自分たちでも作れるのではないかという事で、試作品の製造を進めたそうです。それでも開発は難航し、三年かかってようやく思った通りのホーロー鍋が完成したそうです。

その後は上にも書いたとおり、口コミでバーミキュラの人気が広がっていき、今では愛知ドビーは、世界中にその名をとどろかせる鍋メーカーとなったそうです。

私も番組を見ていたのですが、特にスゴイと思ったのは、鍋とフタの間に全然隙間が出来ないということでしょう。普通の鍋のふたであれば、置いた時にどうしても紙などが通ってしまうのですが、バーミキュラのふたは下においても間に紙ですら通さないくらい、密閉性に優れているとのことです。この密閉性が、料理の美味しさを高めてくれる秘訣なのでしょうね。

この密閉性を作り出しているのが、愛知ドビーの高い技術力なのは言うまでもありません。上に書いたとおり、もともと船舶の部品などを作っていたそうなので、その技術を応用したのでしょう。しかしこの隙間のサイズは0.01ミリ以下だということなので、確かにすごい技術だと思います。まさに「ものづくり」日本の町工場でしょう。

現在日本の町工場は、確かに後継者問題や外国の工場へ仕事が流れていってしまう問題などがあって、その数がどんどんと減っています。経営状況などもかなり苦しくなってきていると思います。しかしこの愛知ドビーのように自分たちの技術を生かし、どんどんと新しい方向性を見つけチャレンジしていくことが、結果として町工場として新しいビジネスチャンスを掴むことに繋がっていくのでは無いでしょうか。

もちろん経営状態によっては、そんな新しいチャレンジなどしている場合では無いかもしれません。そのようなときには、是非私たち工場電気ドットコムにご相談ください。電気代の節約など、少しでも経費削減のお手伝いが出来るかもしれません。