全国で公害化する太陽光発電

何度となく書いてきていますが、現在国内の原子力発電所は90%以上が稼働停止しています。その代わりという事では無いでしょうが、近年国内では太陽光発電パネルの設置、メガソーラの建設などが様々な場所で急ピッチで行われています。しかしそんな太陽光発電パネルが、現在深刻な問題になっているのは、これも何度も書いてきている通りです。

毎日新聞:全国で公害化する太陽光発電 出現した黒い山、田んぼは埋まった

太陽光発電設備の設置が引き起こす景観や自然破壊などの問題が各地で深刻化している。毎日新聞が47都道府県を取材したところ、8割がトラブルを抱えていることが分かった。原子力発電に代わる主力電源として期待されながら、全国で公害化する太陽光発電。何が起きているのか。

有料記事なので途中までしか読めませんが、書きたいことは大体伝わってきます。「環境に優しい」はずの太陽光発電が、今では逆に「環境を破壊している」ということです。しかしこうした事態は今になって分かったわけではありません。太陽光発電が環境を破壊するのでは無いかということは、実は数年前から言われていましたし、また当工場電気ドットコムでもいくつもコラム記事を書いてきました(詳しくは過去記事をご覧ください)。むしろそうした部分を報じてこなかった、むしろ太陽光発電の「光」の部分だけを大々的に取り上げ、全くリスクのない万能なエネルギーであるかのように書いてきたのは、大手新聞やテレビ局などのマスコミでは無かったのではないでしょうか。そう言いたくなってしまいます。ただそうした大手マスコミがこうした「不都合」な部分を伝えないといけないくらいに、問題が深刻化してきた、という事情はあると思います。

太陽光発電では、「安定」して「大量」の電気を発電することは出来ません。「太陽光」で発電をするわけですから、当然日中にしか発電は出来ません。雨天であっても、発電量は落ちてしまいます。そうした制限の中でせめて「大量」の電気を発電するためには、当然「大量」の太陽光発電パネルが必要となります。大量の太陽光発電パネルを設置するためには、当然広大な平地が必要となります。しかし日本ではそうした広大な平地はあまり無いために、どうしても森林を切り開いたり、山の斜面に設置したりしないといけなくなります。こうして環境に優しいはずだった太陽光発電が、結果として日本の森林を少なくしてしまっているという矛盾が発生しているのです。

もちろん太陽光発電も適切に使えば実に有効な発電方法です。例えば屋根の上に設置し、あくまでも補助的に利用する、というような方法です。あるいは他に使い道の限られた土地、例えば広い干拓地や埋立地などに設置すれば、もともと緑は無いわけですから、大きな環境破壊にはなりません。もっともそれでも太陽光発電パネルを処分する時に、様々な問題が発生するのですが。

いずれにせよ、こうした太陽光発電に伴った問題が、どんどんと表面化してきています。早急な対策が求められますが、それと並行して太陽光発電パネルをより効率的に大量の発電ができるよう、改良していく研究も当然必要となってきます。現在問題になっているとしても、未来を担うエネルギーの一つである事は間違い有りません。

一番まずいのは何か一つ問題が発生してしまったからといって、その発電方法全てを全く無かったことにしてしまう事です。そう、現在の原子力発電所のように、全て稼働停止させるような事は間違っているといえます。エネルギーの問題で大切なのは「リスク」と「リターン」のバランスです。特に電気は私達の生活や命に直結する問題ですので、極端に陥ることなく、冷静に議論していきたいものですね。