火力発電について

電気を起こす「発電」。以前も書いたように、その「発電」には様々な方法があります。今回はその中の「火力発電」について見ていきたいと思います。「発電」というと、まっさきに火力発電を思い出す方も多いのでは無いでしょうか。それだけ良く知られている発電方法でもあります。

火力発電の仕組み

火力発電で発電する仕組みですが、まず石油や石炭などの燃料を燃やします。その熱でボイラのお湯を沸かし、高温・高圧の水蒸気を作ります。お湯を沸かして作った高温・高圧の水蒸気の力を利用してタービンを回転させることで発電機を動かし、発電させるのが火力発電の仕組みです。

火力発電の仕組み

つまりものすごい大きなヤカンでお湯を沸かして、そこから出てくる蒸気で大きな風車を回しているとイメージしていただければ、おおよそのイメージがつかめると思います。更にいうと蒸気機関車も同じ原理で走っています。「タービンを回して発電する」ところを、蒸気機関車は「ピストンを回して車輪を動かす」に変えているにすぎません。

タービンを回した後の蒸気は、冷やされて水になって戻され、再びお湯になって蒸気としてタービンを回すことになります。この蒸気を冷やす際に大量の水が必要になりますし、またお湯を沸かす必要があるという事は、大量の燃料の他に大量の水も必要になってきます。ですので火力発電所は、比較的海などの水の多い場所の近くに設置される事が多いです。もちろん水だけでなく、石油や石炭などの燃料を港から運ぶのに便利だという事情もあるのでしょう。

火力発電の種類

火力発電には、いくつかの種類があります。それを見ていきましょう。

汽力発電
ボイラーで発生した蒸気でタービンを回す、最もオーソドックスな方式です。現在の火力発電の主力で、もっとも数が多いです。

ガスタービン発電
汽力発電と違い蒸気でタービンを回すのでは無く、ガスなどを燃やした際に出る「燃焼ガス」でタービンを回して発電します。

コンバインドサイクル発電
汽力発電とガスタービン発電を組み合わせた発電方法です。従来よりも熱エネルギーを効率よく利用することが出来るため、より多くの電気を作り出すことが出来るなど、コストパフォマンスが上がっています。また二酸化炭素の排出量も従来より少なく、エコロジーの方面からも注目されています。これからの主流として期待されている、発電方法です。

コンバインドサイクル発電

内燃発電
ディーゼルエンジンなどを使い発電する方式です。もっぱら小型のものが運用されています。

火力発電のデメリット

火力発電は今も主力として使われている発電方法ですが、デメリットも存在します。やはり一番大きなデメリットは、燃料を燃やすためにどうしても二酸化炭素、いわゆる温室効果ガスを発生してしまう事でしょう。温室効果ガスは「地球温暖化」の原因としても広く知られています。

また二酸化炭素以外にも様々な排気ガス、硫黄酸化物や窒素酸化物なども排出しています。これらはかつては公害の原因として問題視されていましたが、現在では法律により基準が厳しく設定されているため、かつてよりは大幅に改善されています。

もう一つの問題点としては、とにかく大量の燃料を必要とするということでしょうか。原油であれ石炭であれガスであれ、大量に無いと発電ができません。しかしこれらの燃料が安定して産出されている間はいいのですが、資源が少なくなってきた場合にどうするのかという懸念があります。

また燃料のほとんどを輸入に頼ってしまっているため、産出国などで紛争が起きたり、燃料を輸送するタンカーなどが事故にあってしまった場合など、燃料不足となってしまい電気代が大幅に上がるなどの問題点もあります。

また最近になって出てきた問題点が、メンテナンスの問題です。2011年の福島原発事故以来、国内の多くの原子力発電所が停止してしまい、現在日本の発電の多くが火力発電によって賄われているという事実があります。この中には、建設されかなりの年数が経っているものも使われており、それらが壊れてしまった場合どうするのか?という事が問題になっています。当然のことなのですが、発電をしている間はボイラーや発電施設などはメンテナンスをすることが出来ません。これは早急な解決が必要な問題ですね。

まとめ

以上、火力発電について見てきました。様々な問題点はありますが、一番メジャーな発電方法であるというのは変わりません。ただ世界的な流れを見る限り、これからは原子力発電や太陽光発電、風力発電などにとって代わられていくのかもしれません。とは言え、原子力発電もまだしばらくは各地の原子力発電所が稼働しないでしょうし、太陽光発電や風力発電もまだそこまで実用段階に来ていない現状では、もうしばらくは火力発電が私達の電力を支えていってくれるのでしょうね。