経済産業省が6年ぶりに発電別コスト検証

現代社会で生きる以上、何事にも「コスト」はつきまといます。日常生活では食料を購入するにもコストがかかりますし、洋服を購入するのもコストとなります。こうしたコストを考えていった時に、ほとんどの方は出来るだけコストを抑えて、それでいて効果が最大限得られる物を購入しよう、と考えるかと思います。そしてこうしたコストへの考えは更に企業などの経済活動となると、より多くの問題を考えていかないとならないでしょう。

そして当然ですが、発電にもコストがかかります。コストがあまりかからない発電、コストがとにかくかかる発電など、実に多くの発電があります。そうした発電にかかるコストの検証を、経済産業省が近々行うというニュースが入ってきました。

電気新聞:経産省、6年ぶりに発電別コスト検証へ/最新情勢織り込み議論

経済産業省は、2015年以来となる発電別コストの検証に乗り出す。原子力や再生可能エネルギー、火力などの最新情勢を織り込んだ発電コストをあらためて議論し、30年に向けたエネルギー政策の参考材料にする。次期エネルギー基本計画策定に向けた検討で、原子力などのコスト検証を求める声が有識者から出ていた。今後、事務局の経産省・資源エネルギー庁が、新たな会議体設置などを検討する。

この結果が出るのは、まだしばらく先のことになるでしょう。しかし2015年に発電コストを検証した際の結果は、現在見ることが可能です。

たとえば、100万kWの電力をつくりだしたいと考えたとします。原発を使った場合、100万kWの電力を生み出す原発を1年間運転したとすると、そのために必要な燃料は21トンです。原発で使われる燃料はウランですが、天然ウランでは濃度が足りないため、濃縮させたウラン(濃縮ウラン)を使用します。

では、同じ規模(100万kW)の出力(電力量)の火力発電を、同じように1年間運転した場合にはどうなるでしょう。火力発電を動かすために天然ガスを使った場合には95万トン、石油を使った場合には155万トン、石炭を使った場合には235万トン必要となります。

リンク先では図解されていてより分かりやすいのですが、やはり原子力発電が圧倒的に少ない燃料で大量の電気を発電することが出来ます。これは火力発電のエネルギーと比較した場合ですが、さらに太陽光発電の場合、原子力発電所が一年間稼働した際に発電する電気量を太陽光発電で出そうとすると、実に山手線の内側にぴったり収まるくらいの太陽光発電パネルが必要という結果が出ています。これはもう圧倒的と言う他はありません。

他にも色々とありますが、とにかく「コスト」という面から見ると、これは原子力発電が圧倒的に優れています。燃料も少なくて済むので輸送費がかかりません。また広い土地も必要無いので、それらにかかる費用なども安く済みます。それで安くなった分の費用は当然私達の電気代に還元されていくわけです。

もちろん原子力発電には、事故が発生しないようなシステムと備えのために、費用がかかります。しかしそれらを考慮したとしても、やはり原子力発電の優位は変わらないでしょう。環境への負荷ということを考えると、パネルを設置するために山林を無理やり切り開くような太陽光発電よりは、はるかに低い負荷だという考えもできます。

いずれにしても、今回の発電コスト検証がどういった結果を出すのか、見守っていきたいと思います。そして私達もそうしたデータを踏まえて、意識を新しくしていく必要があると言えるでしょう。