美浜原発再稼働

去る6月23日、かねてより伝えられていた通りに福井県の美浜原発3号機が再稼働となりました。

福井新聞:美浜原発3号機を再稼働、全国初の40年超運転 福島事故後に10年停止 福井県

関西電力は6月23日午前10時、運転開始から44年を超えた美浜原発3号機(加圧水型軽水炉、出力82・6万キロワット)=福井県美浜町=を再稼働させた。原発の運転期間を原則40年と定め、特別な審査に合格すれば「20年を上限に1回限り延長できる」と定めた東京電力福島第1原発事故後の新ルール下で、全国初の40年超運転に入った。

ニュースなどでは「運転開始から44年を超えた」という部分がやたらと強調されていますが、実際には2017年から大規模な改修工事を行っており、設備なども最新のものとなっております。その辺りのことは、以前もこのコラムにて書きました。

福井県美浜原発の再稼働について

これで原子力発電所の再稼働が、少しずつ進んでいくことを期待します。現在の日本では原子力発電所のほとんどが稼働停止しており、大量の電気を安定して確保することが難しくなっている、という事は何度も書いてきました。太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーだけでは、安定して大量の電気を確保することは難しいためです。また大量の電気が確保できないということは、もちろん大規模停電などの危険性もありますし、同時に私達の電気代も高騰しやすくなるというリスクを抱えています。今年の冬にもLNG不足が原因で、電気代が高騰したのを覚えていらっしゃる方もいるでしょう。そうした電気代高騰などを防ぐためにも、原子力発電所の再稼働を進めていく必要があります。

夏の電気も大幅不足!2021年の電力事情

特に今年2021年は冬のみならず夏も電気が大幅に不足するのでは無いか?ということが懸念されています。真夏に電気が止まってしまったら、冷房が使えなくなるので熱中症で倒れてしまう危険性が一気に高くなってしまいます。そうならないためにも、本来であればもっと早くからやっておくことだったのですが、原子力発電所の再稼働を進めていく必要があります。電気の不足は「命」に関わってくる問題なのです。

2011年の東京電力福島第一原発事故は、確かに大変な事故でした。その怖さを体験したからこそ、原子力発電所を全て稼働停止したのですが、しかし現在事故の後処理も進んできています。また原子力発電所が無いと、電気が足りなくなるという事実に直面しています。原子力発電所には確かにリスクがありますが、それを上回るほど大きなリターンもあるのです。実際に美浜原発3号機の再稼働などを踏まえた結果、関西での電力供給予備率が6%を超える見通しになった、というニュースも入ってきています。

日本経済新聞:関西の電力予備率、今夏は6%に改善 40年超原発が稼働

電力の供給余力を示す電力供給予備率が、関西では今夏に6%超に改善する見通しとなった。関西電力の運転開始から40年を超える美浜原子力発電所(福井県美浜町)3号機や、大飯原発(同県おおい町)3号機の再稼働などを踏まえて、電力広域的運営推進機関が見通しを引き上げた。電力の安定供給には3%が必要とされる。

また美浜原発の再稼働により、日本の年間CO2排出量の0.7%を削減できる、という事も明らかになっています。

40年を超える原発「美浜原発3号機」が10年ぶりに再稼働も…4カ月で再び停止予定

【原子力事業本部 近藤佳典 副事業本部長】
「40年を超えるプラントの初めての起動ということで、そこで安全安心運転の実績を積み重ねることによって、社会の皆様の信頼を賜ることに寄与できる」

政府が「脱炭素」の目標を掲げる中で、発電時にCO2を排出しないことから再び存在感が高まっている原発。

関西電力は40年を超える高浜原発1・2号機を含めて3基の原発を稼働させることで、C02の年間排出量を日本全体の0.7%にあたる770万トン減らせ、月75億円のコスト削減を期待できるとしています。

現在ある様々な発電方法のリスクとリターンを適切に見極めて冷静に電気を運用していくことこそが、現在求められているのでは無いでしょうか。