中国で起きた電力不足の原因とは?

9月下旬くらいから、中国で頻繁に停電が起きている、というニュースが入ってきていました。この停電により信号やエレベーターが動かなくなったりした所もあるそうです。また工場なども、操業停止になってしまったところがあるようです。

CNN.co.jp:中国で電力不足深刻化、突然の停電や操業制限も 世界供給網への影響懸念

香港(CNN Business) 中国で電力供給不足が深刻化して家庭が停電に見舞われ、工場は減産を強いられている。この影響で中国経済が減速し、世界の供給網に影響が及ぶ事態も懸念される。

中国国営メディアの報道によると、工業集積地の企業は電力需要を減らすためにエネルギー消費を制限するよう指示された。一部の家庭は電力供給をカットされ、エレベーターの中に閉じ込められた人もいると伝えられている。

中国の国営紙「環球時報」によると、27日は北東部の3省が「予想外かつ前例のない」電力カットに見舞われた。同紙は28日、黒龍江省、吉林省、遼寧省の3省で電力供給が割り当て制となり、市民の日常生活や事業運営に多大な混乱が生じていると伝えた。

一体どうしてこのような深刻な電力不足が起きてしまったのでしょうか?

TBS NEWS:中国の各地で停電が相次ぐ その背景とは

中国メディアによりますと、東北部ではろうそくを買い溜めする市民が増え、一部では在庫切れに。なぜ、停電が相次いでいるのでしょうか。原因として、まず挙げられるのが、火力発電用の石炭不足や価格の高騰。さらに、取り沙汰されているのが・・・

中国 習近平国家主席
「中国は2030年までの二酸化炭素の排出量を削減に転じさせ、2060年までに実質ゼロにすることを目指している」

習近平指導部が掲げる温暖化対策です。こちらは、中国政府が先月公表した上半期の各地方政府の省エネ目標の達成度合いを示す表。赤い丸の地域は「非常に深刻な状況」だとして警告を受けていて、「目標達成を迫られた地方政府が火力発電を抑制するために停電の措置をとっているのではないか」との見方もあるのです。

この報道では、二酸化炭素排出量を削減に転じるために、火力発電の操業を抑えている、と伝えられています。しかし実際には火力発電の燃料となる天然ガスの値上がりなどが原因にあるとの見方もあります。

Bloomberg:天然ガス高騰、世界経済の回復阻害の恐れ-転嫁値上げの可能性も

天然ガス相場は歴史的な急伸を続けており、中国の陶磁器メーカーやパリのケーキ店の顧客などさまざまな方面にとって悪材料となっている。

主要市場の大半で天然ガス価格は既にシーズン過去最高値を付けており、さらに上昇する公算が大きいとみられている。この場合、新型コロナウイルス禍からの世界経済の回復を阻害する恐れがある。

このまま推移すれば来る冬には家計支出は圧迫され、インフレで実質賃金は目減りする可能性があり、金融当局者は難しい政策選択を迫られる見込みだ。さらに実際に供給不足となれば、幅広い業界で操業が停止されるほか、途上国では停電が発生し、社会不安を招き得る。

これが9月初旬の記事ですが、「実際に供給不足となれば、幅広い業界で操業が停止されるほか、途上国では停電が発生し、社会不安を招き得る。」と書かれている部分が、実際に中国で起きてしまったと見るべきでしょう。

もちろんこの天然ガスの値上げは、他人事ではありません。私達日本でも、現在火力発電の燃料の多くを天然ガスに依存しています。燃料代が上がれば、当然私達の電気代も値上がりしてしまいます。値上がりだけならまだいいのですが、燃料不足により大停電が起きてしまう、という可能性すら出てきてしまいます。今年の冬に大規模な電力不足があったことを覚えていらっしゃる方も、少なくないと思います。

火力発電ではどうしても燃料が必要になります。こうした資源に乏しい我が国では、やはりある程度原子力発電に依存することが必要となってきます。電気が不足することで失われてしまう生命も多くあります。こうした電気不足が起きないように、少しでも多くの原子力発電所を再稼働させるべき時期に来ているのでは無いでしょうか。