日本卸電力取引所(JEPX)について

この工場電気ドットコムでは、従来の地方電力会社から新電力会社へと切り替えることで電気代が安くなるご提案をしております。ところで地方電力会社は独自の発電所を持っているわけですが、新電力会社の全てが独自の発電所を持っているわけではありません。また例え発電所を持っていたとしても、契約者全ての電気をまかなえるくらいの大規模な発電施設を持っているところも稀でしょう。それでは新電力会社は、一体どのようにして電気を調達しているのでしょうか?

その秘密が日本卸電力取引所「Japan Electric Power eXchange(以下JEPX)」です。JEPXはその名のとおり、電気を売買するための取引所です。電気を売買するので「電気のマーケット」とも呼ばれています。新電力会社はここで電力を売買しているのです。

JEPXは2003年に、電力自由化の流れを受けて設立しました。2009年には一般社団法人となりました。現在のところ、日本で唯一の電力取引市場となります。発電施設を持っており電気が余っているところは電気を売り、逆に発電施設などを持っておらず電気が足りないところは電気を買う、という仕組みです。設備トラブルなどで電気が調達できなくなった時などにも、有効に機能します。

JEPXには、いくつかの市場があります。翌日に受渡する電気の取引きを行う「スポット市場」、特定期間を通じて受渡する電気の取引きを行う「先渡市場」、その他にも時間前市場、分散型・グリーン売電市場などです。いくつか種類はありますが、基本的に全て電気に関連する市場となっています。

電気は基本的に貯めておくことが出来ません。また需要と供給のバランスを取らないとなりません。ですので発電施設などを持っている電気会社は、基本的には自分たちのところで販売する量の電気しか、発電をしていません。JEPXに売られる電気は、その時に余った分の電気です。

そのためJEPXが取り扱っている電気は、実は国内の電気の全販売量のほんの3%程度にすぎません。今後はその取引量をいかにして増やしていくか、というのがポイントになってくるでしょう。そのために様々な方策が検討されています。例えば定額手数料の導入、取引所の年中無休可、そして電気の先物取引化などなどです。

電力の先物取引は取引する電気の価格を、あらかじめ決めておく仕組みです。そのため先物取引は上手く利用できれば、火力発電の燃料となる原油や、石炭などの輸入価格が上昇しても、電気代が高くなるリスクを抑制することが出来ます。電気料金の値上げを避けることにも繋がるので、現在大変注目されています。

JEPXが発展するためには、安くて安定した大量の電気が必要です。そしてそれが結果的には私達の電気代が安くなる事につながってくる事でもあります。今後のJEPXがどうなるか、その動向に注目していきたいですね。