再生可能エネルギーの導入は安定した電力供給をもたらすのか?

再生可能エネルギーといえば、太陽光発電や風力発電、地熱発電やバイオマス発電など、実に多くの種類があります。そしてそれら再生可能エネルギー発電には、「自然のエネルギーを利用する」という共通項があげられます。この再生可能エネルギー発電の最大の特徴はなんといっても「環境に優しい」という事があげられるでしょう。いわゆる「温暖化ガス」は排出しない、もしくは排出してもとても少量である、という事が言えます。再生可能エネルギーはこれからのエネルギーについて考えていくうえで、無くてはならない物だと言うことが出来るでしょう。

言うならば「未来のエネルギー」である再生可能エネルギーですが、当然弱点があります。あくまでも自然の力によって発電をしているために、時として思うように発電が出来ないことがあるのです。

例えば太陽光発電は、当然ですが夜間や雨天の時などには発電ができません。太陽光を利用できないのですから、これは当たり前のことです。風力発電も同様に風が吹かないと風車が回らないために、発電ができません。地熱発電などの場合、地熱が突然なくなるという事はあまり無いことなので太陽光発電や風力発電よりは安定していると言えますが、それでも長いスパンで見ると、地熱の温度が下がってくることもあります。つまり再生可能エネルギーはその多くが、非常に「不安定なエネルギー」だと言うことが出来るでしょう。

この「安定性」という一点において、再生可能エネルギーは従来の発電方法にハッキリと差をつけられてしまっています。原子力発電や火力発電では、24時間365日、常に安定して大量の電気を発電することが出来るのです。そしてこの「安定」した電気こそが、私達の生活には必要不可欠なのです。安定した電気とは、つまり停電などが起きないという事です。真夏にクーラーをつけようと思っても電気がつかなかったり、真冬の大雪の日に停電が起きてストーブが使えなくなるようなことがどれだけ大変なことかは、簡単に想像できるかと思います。

もちろん再生可能エネルギーの普及は必要なのですが、現在の技術ではまだ原子力発電や火力発電に取って代わるだけの安定した発電は期待できません。そうした技術を進めていかないとならないのが大前提なのですが、再生可能エネルギーの導入を進めすぎてしまった結果、大停電が発生したところがあります。それがアメリカのカリフォルニア州です。

国際環境経済研究所:再エネ導入が停電を引き起こしたカリフォルニア州

日本では大きな報道はなかったが、カリフォルニア州では8月14日、15日の2日間輪番停電が実施された。発表を見る限り輪番停電実施の緊急事態宣言発出前に停電が開始されたようであり、対象になった需要家はいきなりの停電に驚いただろう。停電が発生した原因の一つとして、民主党ニューサム知事、カリフォルニア州の送電管理者(CAISO)は、州政府が温暖化対策、再エネ導入推進政策を進める過程で、石炭・天然ガス火力と原子力発電設備を閉鎖し、太陽光発電を中心とした再エネ設備で置き換えたことをあげている。今年の熱波により冷房需要が急増したが、熱波の影響は日暮れまで残るにもかかわらず、日没とともに太陽光発電量が急減したため停電が引き起こされた。

これが2020年、つまり昨年のことになります。詳しいことは記事を読んでいただきたいのですが、再生可能エネルギーに頼ってしまったがために、大停電が発生したのは間違いないようです。

二酸化炭素の量を減らす、という目標それ自体は素晴らしいと思うのですが、それを実現するための手段として再生可能エネルギーの割合を増やしすぎたのが原因でしょう。何度も繰り返しになりますが、再生可能エネルギーだけでは「安定」して「大量」の電気を確保することは、ほぼ不可能です。原子力や火力などである程度安定した電気を確保しつつ、再生可能エネルギーも利用していく、というのが現状では一番いいバランスなのだと思われます。

再生可能エネルギーの問題は、まだまだ始まったばかりだと言えます。今後研究発展させていく必要があるのは当然なのですが、それが実現するまでは他の発電方法で電力を補ってやる必要があります。これも繰り返しになりますが、「バランス」を見ていくことが最大の課題となるでしょう。