7年ぶりに「節電要請」が出た背景とは?電気は足りているのか?

昨日6月7日ですが、電力需給の逼迫に備えるための、関係閣僚会議が開催されました。その中で7年ぶりに「節電要請」が行われる、ということが決まりました。

NHK NEWS WEB:この夏 7年ぶり全国に節電要請 需給ひっ迫で「注意報」新設も

政府はこの夏の電力需給のひっ迫に備えるため、関係閣僚会議を開催しました。
家庭や企業に対して数値目標付きの節電までは求めないものの、7年ぶりに全国に10ある電力管内すべてに対して節電要請を行います。

この夏の電力需給は10年に一度の厳しい暑さを想定した場合、東北、東京、中部の各電力管内では安定供給に必要な予備率が3.1%と非常に厳しい見通しになっています。

こうした状況を踏まえ、政府は7日、電力需給のひっ迫に備え対策をまとめるため関係閣僚会議を5年ぶりに開催しました。

関東圏内にお住まいの方であれば、今年3月に発生した「電力需給ひっ迫警報」の事をご記憶だと思います。あの時は寒い日で、それでいて節電を呼びかけられ、暖房も使わなかった方が多くいらっしゃるのでは無いでしょうか。しかし今年の夏も、もしかしたら次の冬も、同様に節電を求められることになります。そして節電要請が出る、という事はすなわち現在の日本の電力は足りていない、ということにほかなりません。

ここまで電力が足りなくなっている理由は、日本のほとんどの原子力発電所が稼働停止しているからです。これは2011年の東日本大震災による東京電力福島第一原発事故に端を発したものです。それ以降日本の発電は、老朽化していた火力発電所などを無理やり稼働させて、なんとかしのいでいたような状態です。しかし今年3月頭の地震によって火力発電所がいくつか停止し、結果として電気が大幅に足りなくなってしまったのです。

この電気不足の状態を打破するためには、原子力発電所の再稼働がもっとも手っ取り早く確実な方法です。しかし再稼働までには多くの審査が必要な仕組みになっています。また再稼働が決定したとしても、じゃあ翌日からすぐに動かせるか?というと決してそんな事はありません。10年近く停止していた原子力発電所を動かすには、検査やメンテナンスなどが必要になってきます。本来であれば数年前から原子力発電所の再稼働を進めておくべきだったのですが、今から言っても仕方ないことです。

またタイミングが悪いことに、ロシアのウクライナ侵攻により、世界的にロシアの原油な天然ガスなどを輸入しないような国際世論が形成されつつあります。そうなると火力発電に一番必要な燃料、原油や天然ガスが世界的に不足し、価格が上昇してしまいます。そうなると電気は足りても電気代が高騰してしまう、ということになります。

今年の夏はとにかく「節電」という言葉を多く聞くことになるでしょう。しかしもし万が一今年の夏が猛暑いや酷暑だったとしたら、節電という悠長なことは言っていられなくなるかもしれません。今こそ原子力発電所の再稼働を真剣に進めていくべき時だと思います。