大荒れ天気で懸念される太陽光発電の天敵とは?

6月2日3日と連続で、関東地方では大気の状態が非常に不安定になりました。

ウェザーニュース:関東で再び雨雲急発達中 埼玉など連日の雹(ひょう)や危険な「アーチ雲」も

今日3日(金)も関東は上空の強い寒気と地上の昇温の影響で、大気の状態が非常に不安定になっています。その影響で、昼前から雨雲が急発達して、広範囲でゲリラ雷雨が発生中です。一度、激しい雷雨が収まっても夕方にかけて、何回か発達した雨雲が通過するおそれがあります。

この影響で激しい雷雨が発生。一部地域ではゲリラ豪雨が発生しました。しかし今回のこの大荒れな天気でもう一つ見られたのが「雹」です。

Yahooニュース:ひょう“恐怖の瞬間”撮影中に 高校生の腕と背中に直撃 各地で被害発生

Yahooニュース:ゴルフボール大“ひょう”襲来 車ボコボコ…窓ガラス割れ 小学校“休校”

「雹」とは氷の塊が降ってくる現象です。直径5mm以上の氷の塊を「雹(ひょう)」、5mm未満のものを「霰(あられ)」と言います。特に雹はその大きさから、深刻な被害をもたらすことがあります。上に挙げたニュースのように、車の窓ガラスにもヒビが入ったりすることがありますし、場合によってはボンネットなどもへこんでしまいます。もちろんこれだけの大きさの雹は珍しいのですが、それでも全く無いとは言い切れません。

ところでこれだけの雹が降るとどうしても気になってしまうのが、太陽光発電パネルです。

太陽光PORTAL:雹(ひょう)が降っても太陽光パネルは割れませんか?

基本的には壊れません。
何十年と屋根にされされていれば、いつかは空から「ひょう」や「あられ」などの落下物が降ってくることがあるかもしれません。

太陽光パネルは、落下物の衝撃からセルを保護するため、強化ガラスで表面をカバーしています。その内側のシリコンのセルは、セルの保護や雨水などの侵入を防ぎ、 耐候性の向上などの働きがある封止材と呼ばれる樹脂で覆われており、裏面の保護フィルムには、耐候性や絶縁性などを確保する働きがあります。 工業標準化全般に関する調査・審議を行っている日本工業標準調査会(JIS規格)では、「1mの高さから直径38mm、重さ227gの硬球を落下させて、これに耐えること」との規定があり、 国内メーカー製品はこの基準に準拠しています。通常の雹程度では、太陽光パネルが破損する可能性はほとんどありません。

ここにあるように、基本的に太陽光パネルではこうした落下物の対策として、強化ガラスで表面をカバーしています。そのため通常の雹では壊れることはほとんど無いようです。しかし今回のような大きな雹では、多少なりとも傷つく可能性はあるでしょう。また小さな傷がついてしまう恐れもあります。

日経XTECH:雹が降り、目に見えない損傷を受けた太陽光パネル

実際に屋外に設置された太陽光パネルのEL画像を紹介します。いずれも、降雹時に雹が当たった太陽光パネルで、図1が単結晶シリコン型パネル、図2が多結晶シリコン型パネルのEL画像です。

雹によって、狭い範囲に強い打痕を受けたことから、EL画像では、太陽光パネル内の特定のセル(発電素子)に、暗くなった部分があるのがわかります。

いずれもパネルとも、ガラスへの損傷がなく、目視検査では、通常のパネルとの差異はありません。

リンク先の画像を見ていたくと分かりますが、確かに細かい傷やヒビなどが入っているのが分かります。そしてポイントとなるのは「目視検査では、通常のパネルとの差異はありません」という所でしょう。雹が降ったあとに一見して太陽光パネルに被害が見えなかったとしても、実は傷ついているという可能性があるわけです。気がついたら発電量が減ってしまった、という事もあるでしょう。そしてそれには細かい検査をする必要があります。

日本は自然豊かな土地です。しかしその自然は時として私達の生活に大きな被害を及ぼすことがあります。特に太陽光パネルなどは常に外にあり、日常的に風雨にさらされるわけですから、これは常にメンテナンスをしておく必要があります。そうした手間やコストを考えると、結局太陽光発電システムはかなりコストが高い発電方法になってしまいます。

太陽光発電システム自体が悪い、というわけでは決してありません。しかしメリットとデメリット、コストやリスクなどをしっかりと考え、適材適所で利用していかないと、結局は環境を破壊して終わり、となってしまうだけです。今こそ基本に立ち返って、そうした議論をしっかりと進めていく時期だと言えるでしょう。