電力自由化以降、多くの新電力会社が誕生しました。全国的に電気を取り扱う大きな会社から、地域に根ざした小さな会社まで、実に多種多様です。そうした多くの電気会社の中から、自分の好きなプランを選べるのが、電力自由化の最大の理念であり恩恵だといえるでしょう。そうした全国に多くある電気会社の中で、「みやまスマートエネルギー」という電気会社をある事をご存知でしょうか?
みやまスマートエネルギーは福岡の電気会社です。電気の地産地消を旗印に、地域に特化したサービスを行っていることで有名な電力会社です。「電気の地産地消」については、以前も書きましたので、参考にしてください。
特に自治体つまり福岡県みやま市が多くの出資をしているということでも、知られていました。もしかしたら既にご存知だった方もいらっしゃるかもしれません。
新・公民連携最前線:福岡県みやま市、挑戦的な地域新電力に見る「理想と現実」
国内の多くの地方自治体と同じように、みやま市でも、人口の減少や高齢化が進みつつある。人口の減少は、地方自治体にとって税収の縮小につながり、財政の縮小を招く。これによって、必要な社会インフラ整備への投資が滞ったり、行政が提供すべき住民サービスの規模を縮小したり、特定のサービスの提供を断念しなければならない恐れが出てくる。特に、高齢化に対しては、これまでにないインフラやサービスが求められる。それに対して、十分に投資できず、高齢者が住みにくい街になることは避けたい。
地方自治体の多くに共通するこうした行政の課題に対して、みやま市は、通常の行政の活動に加えて、市が過半を出資(55%)している地域新電力「みやまスマートエネルギー」(みやま市瀬高町)を通じて解決を試みようという、挑戦的な取り組みを始めていることで知られる。
もちろん小さな会社ですので、経営はなかなか上手くいかなかったようです。しかし様々な取り組みを行った結果、2019年には累積赤字を解消したとして、より地域に根ざした電力会社としての活動が期待されていました。しかしこのみやまスマートエネルギーに、今ちょっとした騒動が持ち上がっています。
みやま市の第三セクター法人みやまスマートエネルギー㈱(以下みやまSE)代表の磯辺達氏に特別背任があったとして、同市議の末吉達二郎氏(2期目)が5月18日、福岡地方検察庁に告発状を提出したが、一方で地元関係者の間からは疑問の声が上がっている。
(中略)
ただ、大手企業の新電力参入による競争激化の中で、契約数は思ったほど伸びておらず、当初目標の10000件に対し1219件(法人571件、個人648件、2月末現在)と苦戦しているのも事実である。
価格競争ではどうしても九州電力や大手新電力に分があり、高齢者支援や地域通貨と組み合わせた「みやまモデル」を市民に理解・協力してもらい、契約数増につなげていくのが課題で、電力の地産地消という目標は道半ばである。
さきほど「赤字は解消した」と書きましたが、それでも契約件数は伸び悩んでいるようです。それに加えて上記のような背任疑惑があったとして、騒動になっているようです。今後の行方などは見守っていかないとならないでしょう。
「電力自由化」は実に多種多様な電気会社が生まれるきっかけとなりました。その中には、地域に根ざした電気会社があってもいいはずです。みやまスマートエネルギーも、そうした理念を持って誕生した電気会社だったはずです。せっかく「電気の地産地消」を実現しているわけですから、その経験をなんとか生かして、存続をしていってほしいと願うばかりです。