先日3月16日深夜に発生した最大震度6強の地震では、東京電力の管内で多くの停電が発生いたしました。地震の時に停電が起きてしまうのは、やはりどうしても不安なことだと思います。しかしどうしてこのような大停電が起きたのでしょうか?東京電力のTwitterアカウントは、以下のように説明しています。
現在、3月16日23時34分に発生した地震の影響等に伴う発電設備の停止により、電力システム全体を保護する装置である周波数低下リレーが自動動作したことで停電が発生しておりますが、安全を確認後、0時37分から順次送電を再開しており、2時45分を目途に概ね復旧する見通しです。
— 東京電力パワーグリッド株式会社 (@TEPCOPG) March 16, 2022
「電力システム全体を保護する装置である周波数低下リレーが自動動作したことで停電が発生しております」とありますが、電力システム全体を保護するのであれば、停電も起きないように思いますが、一体どういう事なのでしょうか?そもそも「周波数低下リレー」とは、どういうシステムなのでしょうか。
J CAST ニュース:大停電引き起こした「周波数低下リレー(UFR)」とは? 仕組みを解説
電気の供給では、「周波数」を一定に保つ必要があり、それが乱れると機器が壊れたり、大停電につながったり危険がある。周波数を一定に保つためには、電気の需要と供給を一致させる必要があるが、今回の地震のように発電所が停止すると供給力が減少し、周波数が低下する危険がある。そのため、電気を消費する側(需要)を一時的に送電網から切り離して周波数の低下を防ぐ仕組みが備わっている。この仕組みは、「周波数低下リレー」(UFR)と呼ばれている。
以前にも書きましたが、実は電気は「需要」と「供給」を一定に保つ必要があります。需要が多くなってしまってはもちろん電気が足りなくなってしまいますが、供給が多くなりすぎてもいけないのです。両者は常に一定に保たないといけないのです。
そして先日のような大地震があった直後などは、震源の近くにあるような発電所が、危険を感じたために運転を一時停止することがあります。この場合、電気の需要はそのまま変わらないのですが、供給が一時的に減ってしまいます。すると電気の需要と供給のバランスが大幅に崩れてしまいます。そうなると機械の故障や、もっと広域の大停電が発生してしまう危険があるのです。もちろん先日の時も停電は発生しましたが、それはシステム全体の安全を確保するために、あえて停電を起こしていたということになります。もちろん停電があった地域の方から見たら、十分に大停電だったと思いますが、そこで停電を起こさないとより広域の停電が発生していた可能性があるのです。
こうした電力の受給バランスを保つためにも、大量かつ安定した発電は必要になってきます。太陽が出ている時だけ、風が吹いている時だけ、発電するようでは、まだまだ不安定なのです。もしもう一箇所か二箇所くらい原子力発電所が再稼働していたのであれば、停電する地域も少なく済んだでしょう。
電気は私達の生活と命に直結してくる問題です。感情的にならずに、冷静な議論と対応が今こそ求められています。