先日9月5日は、クリーン・コール・デーでした。と言っても、「クリーン・コール・デー」をご存じないという方も多くいらっしゃるかと思います。「クリーン・コール・デー」とは、石炭の有用性・価値を発信していく日のことです。
雑学ネタ帳:石炭の日(クリーンコールデー)(9月5日 記念日)
通商産業省(現:経済産業省)の呼びかけにより、日本鉄鋼連盟・電気事業連合会・日本石炭協会など8団体が1992年(平成4年)に制定。また、石炭に関する技術開発・事業化の援助・人材育成などを手がけ、エネルギーの供給・産業の発展を担う一般財団法人・石炭エネルギーセンターも制定。
日付は「ク(9)リーン・コ(5)ール」(クリーンな石炭)と読む語呂合わせから。エネルギー源としての石炭のイメージアップを図り、ほかの化石燃料に比べて二酸化炭素の発生量が多い石炭をクリーンなエネルギーとするための技術開発に取り組んでいることをPRする日。記念日は一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録された。この日を中心に火力発電所の一般公開などが行われている。
その昔は石炭は重要なエネルギー資源でした。しかし様々な理由から、その地位を石油に取って代わられてしまったのです。その原因としては、やはり大量の二酸化炭素を排出する、というのが大きな原因となっているのは間違いないでしょう。
発電では、石炭を利用していながらも排出する二酸化炭素の量が激減してきています。これは長年の研究成果であり、技術の進歩がもたらした物でもあります。
石炭が燃焼するとSOx(硫黄酸化物)やNOx(窒素酸化物)、ばいじん(すすや燃えカス)が発生します。日本は高度成長時代には大気汚染が深刻な問題でしたが、過去40年以上にわたり環境対策技術や効率的な燃焼方法を開発するなど環境負荷を低減する努力を行ってきた結果、世界の石炭火力を牽引する存在となりました。
今日、石炭火力の煙はきちんとした浄化処理を行ったうえで大気中に放出されています。つまり”黒い煙”どころか、ほとんど何が出ているか見えない状態なのです。
特に石油は中近東で多く産出されますが、逆に言うと中近東で何かあった場合、その価格に大きな変動が出てきます。新型コロナウイルスでは各国が産業を一時的に止めたため価格が下がり、それに伴って電気代が下がったのは新しい記憶です。しかし当然ですが、その逆もあるわけです。オイルショックのように、原油価格が大幅に上がってしまうと、世界経済は大混乱になるでしょう。
そして石炭は世界各国にまだまだ多くの埋蔵量があるのです。石炭でもクリーンな発電が出来るのであれば、それを利用しない手は無いと言っていいでしょう。特に日本では現在ほとんどの原子力発電所が稼働停止していますので、火力発電がどうしてもメインの発電方法となってしまっています。火力発電を利用している以上、燃料の問題はどうしても不可欠になるのです。
現在発電方法は太陽光発電や風力発電など、新しいクリーンエネルギーを使う方向に進んでいます。しかし従来利用していた石炭でクリーンな発電が出来るのであれば、これは何よりも朗報だと言えるでしょう。「クリーン・コール・デー」とは、そうした従来の石炭のイメージを払拭すべく、行われているのです。