悪質な新電力営業電話の見分け方

いわゆる「電力自由化」は2000年からスタートしています。そう考えると今年で20年もの歴史となるのですが、皆さんが普通に耳にするようになったのは2016年あたり、一般家庭用の新電力がスタートした頃からでは無いでしょうか。それでももう4年が経ちましたので、「電力自由化」や「新電力」といった単語も随分と耳に馴染んできた感じはあります。

しかし新電力を標榜した詐欺事件などは、相変わらず後をたたないようです。新電力に関わっている身としては非常に悲しい限りなのですが、対策としては皆さん一人ひとりが新電力に対するしっかりとした知識を持つ事が最善だと言えるでしょう。

そうは言っても新電力もなかなかに奥が深いもので、そう簡単に全ての知識を得ることは難しいでしょう。今回は特に新電力の営業電話がかかってきた時に、その会社が悪質な会社なのかどうか、というのを見分ける方法を伝授したいと思います。

悪質な新電力業者その1:機械の購入を促される

これは新電力の大原則と言ってもいいのですが、新電力は基本的には「今まで通り」の設備で「今まで通り」に電気を利用することが出来ます。新電力を利用するのに、特別な機械などは一切必要無いのです。つまり「新電力に切り替えるために、この機械の購入をお願いいたします。」と言ってくるような営業電話は、100%詐欺電話であると言って差し支えないでしょう。

悪質な新電力業者その2:送電線の工事などを提案してくる。

上にも書きましたとおり、新電力に切り替えても「今まで通り」の設備で「今まで通り」に電気を利用することが可能です。新しい機械は一切必要ありませんし、送電線の工事などは一切必要ありません。工事の必要性などを言ってくるところは、無視してしまっていいでしょう。

業者によっては新電力に切り替えるのに合わせて、太陽光発電システムの設置を勧めてくるところもあるかもしれません。ご自身でより電気代が安くなるなと思って太陽光発電システムを設置することは別に構いませんが、太陽光発電と新電力自体は一切関係ありません。新電力にしたからといって、必ず太陽光発電システムを設置しないといけない、という事は一切無いのです。その事だけはあらかじめ覚えておいた方がいいでしょう。

費用と工事について一点だけ注意しないといけないのですが、現在旧式の電気メーターをご利用になっている場合、新電力に切り替えるタイミングで新型のスマートメーターに取り替えるという作業が発生することがあります。しかしこのスマートメーターは新電力「だから」必要なものではなくて、現在全ての電気会社において進められている事業の一環です。新電力に切り替えなくても、いずれスマートメーターに取り替えましょうという連絡が届くかと思います。そしてこのスマートメーターの取替には、数十分程度の作業が発生しますが、費用は当然のことながら発生いたしません。「新電力に切り替えるためにスマートメーターにする必要があります。スマートメーターの設置にメーターの費用と作業費用がかかります。」と言ってくるところは、もちろん詐欺電話だということです。

悪質な新電力業者その3:電気料金がありえないくらいに安くなる

新電力は電気代金の基本料金部分を安くすることで、電気代全体が安くなるという仕組みを使っています。しかしそこであまりにも安すぎる額、例えば現在の電気代から40%以上も安くなるようなプランを出してくる所は要注意です。新電力は自分のところで発電施設を持っているところもありますが、ほとんどの新電力は他所から電気を買い付けてそれを販売しています。この販売価格は当然ですがほとんどの業者で統一されていますので、一つの会社だけ突出して安くなる、という事はまずあり得ません。なんらかのカラクリがあると思った方がいいでしょう。もちろん自社で発電施設を持っているのであれば話は別ですが、そうでない場合は最大でも10~15%前後くらいの削減が限界でしょう。話を良く聞いてみると、電気代全体の事ではなく基本料金の事を言っていた、という可能性もありますので、要注意です。

更に付け加えますと電話営業には多くの人員が必要です。つまりそれだけの人件費がかかるという事になります。つまり電話営業をしているようなところではそうした人件費を電気代に上乗せしないと儲からないわけですから、おのずと電気代も若干高めになってしまうのです。特に電話営業であまりにも安すぎる額を出してくるところには、気をつけた方がいいでしょう。

悪質な新電力業者その4:個人情報を聞き出そうとする

営業電話の中には、会話の流れの中であなたの個人情報を聞き出そうとしてくる所もあるかもしれません。そうしたところはそもそも新電力会社ですら無い、全く別の詐欺会社である可能性があります。特に住所や家族構成、現在の毎月の電気代など、電話口でうかつに答えない方がいいでしょう。

怪しいと思ったら相手の身元確認!

いままで紹介した以外にも、悪質な新電力会社は様々な手段で営業電話をかけてくるでしょう。怪しいと思った時に一番大切なのは、こちらの個人情報をうかつに教えないことと、そして相手の身元を確認することになります。とくに新電力は登録事業者で無いと営業ができません。ちょっとでも良さそうなプランがあっても、まずは相手の会社名、電話番号などを控えておいて、後で登録事業者かどうか確認をした方がいいでしょう。登録事業者かどうかは、経済産業省資源エネルギー庁のホームページにて確認できます。

自分の身を守るためには、最終的には自分で知識を身に着けておかないとなりません。少しでも怪しい電話営業は、まずは調べるところから始めましょう。