普段生活をされていて、何もしていないのに突然部屋の照明が明るくなったり暗くなったりする現象を体験した方はいらっしゃるでしょうか?実はそれは「電圧フリッカ」という現象です。
電圧フリッカとは、電線路の電圧が繰り返し変化することで、家庭などの照明が明るくなったり暗くなったりを短い時間に繰り返す現象です。
従来はアーク炉や溶接機といった電気を大量に使用する機器が主流で発生しておりましたが、最近では太陽光発電用パワーコンディショナ(PCS)に備えられている、電線路が停電時に発電機を電線路から切り離す機能の設定により発生することがあります。
※太陽光発電設備やお客さまのご使用されている機器そのものに問題はございません。
書かれているとおり、電線の電圧が変化することで、照明などの明るさに影響を与えるという現象になります。特に近年では停電を検出する保護装置の設定が、大量に太陽光発電設備が接続されてしまっているために、発生することが多くあるようです。実際に現在もこの電圧フリッカに悩まされている地域が存在しています。
長崎新聞:南島原で多発?「電圧フリッカ」 照明点滅 太陽光発電に起因
「夏場の昼間に限って家中の照明がチカチカする」―。
長崎新聞の情報窓口「ナガサキポスト」のLINEに、南島原市有家町の自営業の男性からこんな情報が寄せられた。自宅を訪問して撮影した動画を見せてもらうと、裸電球が1秒間に何度も点滅している。
(中略)
原因は、昔は一時的に電力を大量に使用する機器が主だった。現在はそれに加えて太陽光発電の発電用パワーコンディショナー(PCS)の存在もあるという。発電した電力を直流から交流に変換する装置で、晴天で電気の使用が少ない時期に、停電など異常を検知する機能の設定に起因する「電圧フリッカ」の発生が高くなっているという。
記事中に出てくる南島原は、実は太陽光発電に適している土地として知られています。年間の日照時間が平均してとても長いのです。そのために太陽光発電パネルも多く設置されているのですが、それが裏目に出た形となるでしょう。
実はこの現象は今に始まったことでは無く、昨年すでに同じ九州電力管内でやはり電圧フリッカが多発したことがありました。
産経新聞:電圧フリッカなぜ再発? 九電悩ます広域発生 背景に太陽光発電の急拡大
今年3月以降、九州南部の広範囲にわたり、配電線での予期しない電圧変動が原因の「電圧フリッカ」が発生し、電力関係者を悩ませている。広域での発生は平成29年以来で、背景には太陽光発電の急速な拡大があるとみられる。電気の質が悪化する電圧フリッカの影響は家庭の照明のちらつきにとどまらない。工場の生産設備の動作不良にもつながり、ものづくりの基盤を揺るがす。九州電力管内の電力供給を担う九電送配電は、業界団体と連携し、原因究明や対策を急ぐ。
この際にはPCS数万台を改修することで収まっていったとのことですが、それでもまた再発しました。おそらく太陽光発電に由来するものであるだろう、という所まではわかったようですが、根本的な原因は不明だということです。
いずれにせよ、原因がきちんと特定され、一日も早く対策が講じられることが期待されますね。またもしご自身の環境で同様の電圧フリッカを確認したら、すぐに近くの電気会社まで相談してみることをオススメいたします。