京都市の無電柱化が財政難でストップ

現在日本各地で無電柱化が進められています。「無電柱化」とは文字通り電柱をなくし、送電線などを地下に埋めてしまうことになります。この方法のメリットとしては、台風などにより送電線が切断されることが防げるところにあります。もちろん台風以外でも、空中にある送電線には実は多くの切断のリスクがあります。

また観光地などでは送電線を無くすことで、より良い景観になるというメリットがあります。そのため特に観光地などでは、この無電柱化が進められています。ところが現在無電柱化を進めている観光地である京都で、その無電柱化の事業が一旦中断されることになってしまいました。

京都新聞:京都の観光地「無電柱化」、財政難でストップ 市「景観より防災優先」、地元は落胆

京都市が都市景観の保全、再生のために実施してきた観光地の無電柱化事業の中断を決めた。財政難で本年度から3年間、予算化を見送る方針を決め、「景観より防災を優先せざるを得ない」(市財政室)のが理由だ。事業化を心待ちにしていた地域からは複雑な声が聞かれる。

(中略)

市は、観光地を中心とした景観保全目的の無電柱化事業を1995年から始め、ねねの道(東山区)や花見小路通(同)など35路線(総延長計9・62キロ)で完成した。広い青空の下、観光客は歴史的建造物を眺めながら街路を歩くことができるようになった。市は2018年策定の計画で、今後約10年間でさらに24路線(約10キロ)で整備する予定だった。

しかし、財政破たんの恐れがある市財政で、税投入する余裕はなくなった。市によると、幅が狭い観光地の道路は1キロ当たり約9億円かかり、20年度までにつぎ込んだ事業費は約86億円。国の補助金などを差し引いた市負担は33億円を超えた。

この無電柱化事業は、当然のことですがかなり費用がかかります。既にある電柱を撤去するだけでなく、そこにあった送電線を地下に埋めるわけですから、当然関連地域の道路などは全て掘り返さないとなりません。時間も相当かかるでしょう。観光地では観光客に来てもらうことで事業収入となるわけですが、ご存じの通り昨年と今年は新型コロナウイルスの影響で、観光客などはかなり少なかったはずです。特に外国からのお客様がほとんど無かったのは、かなり痛手だったのでは無いでしょうか。そうした事情を考えると、今回の中止決断はやむを得ないと思います。

しかし無電柱化事業には、やはり多くの恩恵があります。観光地であれば特に、美しい景観となるのは大切でしょう。更に日本には毎年のように台風が来ますので、いかにして電線が切れないようにするかというのはかなり重要なメリットとなります。新型コロナウイルスが収まり観光客が戻ってきたら、是非とも無電柱化事業を再開していただきたいですね。