2018年の夏は、日本各地で様々な災害が発生いたしました。西日本豪雨、台風21号、そして北海道胆振東部地震などなどです。災害被害に遭われた皆様には、心よりお見舞いを申し上げます。
各地の災害被害が報じられる一方で、明らかになってきた事があります。それは「太陽光発電の災害への弱さ」です。工場電気ドットコムのコラムページでも何度も取り上げてまいりました。
2018年7月の豪雨で露呈した太陽光パネルの思わぬ弱点
太陽光発電の意外なデメリット
2018年9月の台風21号でより明確になった太陽光パネルのデメリット
平成30年北海道胆振東部地震の停電復旧の素早さと更なる課題
太陽光発電用パネルを設置するのは、広大かつ平らな土地が必要です。山林を切り崩し斜面に設置されたような太陽光パネルは、台風や豪雨などがあった場合、斜面ごと崩れてしまう恐れがあります。また強風が吹いたときなどは、太陽光パネル自体が舞い上がってしまい、他の建物などにぶつかって被害を及ぼす事もあります。
ところでこれらの「太陽光ブーム」は、東関東大震災以降に起きたような印象があります。東関東大震災に続いて起きた福島第一原発の事故と、その後決定された固定価格買取制度が、太陽光パネルの設置を大幅に後押ししたといえるでしょう。
つまり一言で言ってしまうと、「原子力発電の代わりとして太陽光発電が選ばれた」という事になるかもしれません。しかし現実問題としては、果たして原子力発電の代わりとして太陽光発電を利用するのは、理にかなっていると言えるのでしょうか?その答えは、以下のページに書かれています。
再生可能エネルギーを使えば、燃料費はかかりません。ところが、太陽光発電でこれだけの量の電力をつくるためには、約58km2の敷地に太陽光パネルを敷き詰める必要があります。約58km2という広さは、だいたい山手線の内側いっぱいの広さだと考えればわかりやすいでしょう。風力発電でつくる場合には、さらに214km2の敷地が必要となります。これは山手線の3.4倍です。風車同士はある程度の間隔を空けて設置する必要があり、どうしても敷地面積が広くなってしまいます。
いっぽう、燃料の面で効率性の高さを見せた原発では、約0.6km2の敷地が必要です。
100万kW級の原子力発電1年間分と同じ発電量を得るためには、太陽光発電の場合、山手線一杯の面積に太陽光パネルを敷き詰めないといけない、という事になります。また風力発電の場合は、さらにその3.4倍の土地が必要だということです。これはかなりの違いでは無いでしょうか。
リンク先にも書かれていますが、太陽光発電や風力発電などいわゆる再生可能エネルギーは、どうしても発電効率が悪くなります。太陽光発電であれば、夜間は発電ができません。風力発電であれば、風の無い時には発電が出来なくなってしまいます。もし太陽光発電が夜間でも発電できるのであれば、より狭い面積で原子力発電と同程度の発電が見込めるでしょう。
今回紹介したURLには、他にも様々な興味深い内容が書かれていますので、お時間のある時にでも是非読んでみてください。
今までも何度か書いてきていますが、「発電」にはコストの問題とリスクの問題があります。どんなに大量の電気を発電することが出来ても、それに比例して膨大なエネルギーが必要であれば、それは効率の悪い発電ということになります。これが「コスト」の問題です。そして発電施設に何か事故があった場合、復旧までにどれくらいかかるのか、どの程度の被害が見込まれるのか。これが「リスク」の問題です。
発電方法をどれか一つだけにしてしまうのは、とても危険です。今回の北海道胆振東部地震では、火力発電への比率が大きかったために、火力が使えなくなった後の復旧に手こずっています。それは原子力であろうが水力であろうが太陽光であろうが、同じ事です。リスクを分散するために、発電方法を複数の方法に分散させることが求められています。
またこれも何度か書いていますが発電方法は、その土地によって向き不向きがあります。日本のような狭く山が多い土地であれば、水力発電に使うダムに向いている土地が多くなります。あるいは周囲に海水が大量にあるので、それを利用した発電方法も、いいかもしれません。逆に太陽光パネルを設置するような、広大な原野はなかなかありません。そういう土地柄を考えると、太陽光発電は補助的かつピンポイントで使っていく方がいいのかもしれません。
2018年の多くの災害をきっかけに、発電というものについてまた改めて議論をしていく必要があるのかもしれません。