発電所で作られた電気を、私達の家庭やオフィス、工場や町工場などに運ぶ際には「送電線」が必要となってきます。その送電線を張るのに必要となってくるのが「電柱」です。今回は「電柱」について、書いていきたいと思います。
電柱の役割
「電柱」とは、上にも書いたように送電線を張るために必要な柱です。各家庭やオフィスなどに電気を届けるために必要不可欠となっています。また現代では、電柱に様々な広告や案内表示、また住所表示などもつけられているため、電気を送るだけでなく、より多くの役割を持つようになってきています。また時には、避雷針としての役割も担っています。
以前の電柱は木で作られていましたが、現在ではほとんどの電柱はコンクリートによって作られています。
電柱と電信柱
ところで「電柱」と「電信柱」は実は違うものだ、ということはご存知でしょうか?では一体「電柱」と「電信柱」は、どのように違うのでしょうか?
実は「電柱」と「電信柱」では、その役割が全く違います。
「電柱」は各電力会社が設置するものです。正式名称を「電力柱」といって、各家庭やオフィス、工場など様々な場所に「電気」を送るために、設置されています。
一方の「電信柱」ですが、こちらを設置するのは電力会社では無く、NTTなどの通信を業務とする会社です。つまり「電信柱」は電気では無く、電話回線や光ケーブルなどの通信に関連するものを、各家庭やオフィス、工場や町工場などに送るためのものなのです。
電柱や電信柱には、それぞれ所有者を示すプレートが貼られています。このプレートにかかれている名前が、電力会社なのか通信関連会社なのかで、どちらなのかを見分けることが出来ます。ちなみにプレートが複数貼られているものを、見かけることがあります。これは「共用柱」といって、電柱と電信柱の両方の役割を持っています。このような共用柱の場合、複数貼られたプレートのうち、地面に近い所に書かれているものが、所有者ということになります。
電柱に変圧器がついている理由
プレートに書かれた名前以外にも、電柱と電信柱を見分ける方法があります。それは「変圧器」の有無です。電柱を良く見ると、柱の上の方にグレーのポリバケツ状の物が設定されています。これが「変圧器」です。電気は配電用変電所から各家庭やオフィス、工場などに送られてくる際に、100Vから200Vの電圧となっています。これは高い電圧の方が、送電の際のロスが少なくなるためです。しかしそのままでは電圧が高すぎて、家庭やオフィスなどでは使うことが出来ません。そこで電柱にある変圧器で電圧を下げて、各家庭やオフィスなどに電気が届けられるのです。なので「変圧器」がついているものは、100%「電柱」ということになります。
電柱についている変圧器は、各家庭やオフィスなどのために電圧を下げるという役割を持っています。つまり街中にある電柱の何本かに一本には、必ず変圧器がついているということになります。逆に言うと、近隣に民家や企業などが無いような場合、変圧器がついていない電柱が設置されているということになります。
広まる無電柱化の動き
このように、私達の生活とは切っても切り離せない電柱ですが、ここ最近景観を良くするために、電柱を無くして電線や通信ケーブルなどを、地面に埋めてしまおうという動き、いわゆる「無電柱化」の話が進んできています。もしかしたら、このページをご覧になられている方がお住まいの街でも、既に電柱が無くなっているところがあるかもしれません。
確かに電柱があると、どうしても電線が多くなるため、景観に悪影響を及ぼすことがあります。電線が空中にあることで鳥がとまり、糞が落ちてくることもあります。また地震や台風などがあった時、電線が切れたり電柱そのものが倒れてくるなどの危険性も考えられます。実際に海外では、多くの国で無電柱化が進んでいます。
そういった事情から、近年日本でも電線や通信ケーブルなどを、地中に埋めてしまう無電柱化の動きが広まりつつあります。東京都でも小池都知事が、2020年の東京オリンピックに向けて、電線を地中化するように進めています。
しかし電線を地中に埋めるには、実は電柱を建てるよりもはるかにコストがかかる、という話もあります。また地面を掘らないといけないので、その土地の地主に対しても、キチンと許可を取らないとなりません。そのような手間やコストの問題もあり、日本ではなかなか無電柱化が進んでいないようです。
また無電柱化すると、地震や台風などで電柱が倒れる心配が無いと書きましたが、実際には電線が地上に出ていた方が、台風や地震などで電線が切れた場合に、どこが切れているのかを特定しやすい、というメリットもあります。特に大地震などでは、地面の液状化が心配されますが、そうなると電線を地面に埋めてしまった方が被害が大きくなるのでは?という心配もあります。
無電柱化については、日本は確かに諸外国よりも遅れてしまっているという現状があります。だからこそ、他の国でどのようにして成功したのか、どのようにしたら失敗になるのか、という点をしっかりと分析して、役立ててほしいものです。
まとめ
今回は「電柱」について書いてきました。この記事で、電柱を見る目が少し変わるかもしれませんね。