三菱重工が高温ガス炉を使った水素製造をスタート

三菱重工については先日の超小型原発でも話題になったように、新しい発電について積極的に研究・開発を進めているイメージがあります。

三菱重工業が超小型原発を開発

実際に電力は安定かつ大量の発電が求められています。いままでの原子力発電所が稼働を停止して再稼働がなかなか認められない現状では、より安全な新しい発電方法を研究していくしかありません。もちろん再生可能エネルギーという選択肢もありますが、再生可能エネルギーではどうしても「安定」という面において、なかなか従来の代替となり得ないことが分かってきています。

その三菱重工ですが、高温ガス炉を使った水素製造をスタートした、というニュースが入ってきました。

三菱重工:カーボンニュートラル実現に向けたHTTRによる水素製造実証事業の開始

2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、電力分野での脱炭素化に加えて、製鉄、運輸等の分野での脱炭素化が必要となります。その実現に向けて、水素エネルギーの利活用が期待されており、グリーン成長戦略において水素製造に係る要素技術を確立することが示されました。

今般、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(以下「原子力機構」という。)と三菱重工業株式会社(以下「三菱重工」という。)は、その最初のステップとして、経済産業省資源エネルギー庁の委託事業「超高温を利用した水素大量製造技術実証事業」を受託し、HTTR(高温工学試験研究炉(高温ガス炉))による水素製造事業を今年度より開始しました。本事業では、原子力機構が有するHTTRに水素製造施設を新たに接続し、HTTRから得られる高温熱を活用した水素製造技術の確証を行う計画で、水素製造施設と接続するための改造内容の具体化、許認可手続、設備改造及び試験を段階的に実施して参ります。また、将来の高温ガス炉実証炉における水素製造技術の高度化に向けて、大量の水素製造に対応可能とするための一部機器(高温隔離弁等)の大型化検討、高温ガス炉と組み合わせるカーボンフリー水素製造技術の調査も行います。

まだまだ始まったばかりですが、かなり期待できるでしょう。「高温ガス炉」については以前も書きましたが、原子力発電としてはかなり安全な方法であり、また水素を製造することも出来るので、その水素を発電に利用することも可能です。まさに一石二鳥となるわけです。

次世代の原子炉「高温ガス炉」とは?

JAEA:高温ガス炉による水素製造が実用化へ大きく前進 ―実用工業材料で製作した水素製造試験装置を用いた熱化学法ISプロセスによる150時間の連続水素製造に成功―

こうした技術の進歩によって、発電方法にどんどん新しい選択肢が出来ることは、大いに歓迎したいところです。特に原子力発電は今後まだしばらくは私達がメインの発電方法として利用していかないといけないのですが、やはり安全性などで大きな不安を持つ方がいらっしゃる事も否定できません。そうした安全性に配慮して、更により効率的な発電ができれば、これ以上のことは無いでしょう。

今後の研究成果に期待が持てるニュースです。