先日のことですが、パナソニックが太陽電池の生産から撤退する、というニュースが入ってきました。
ITmedia NEWS:パナソニックの太陽電池生産終了 国内各社に逆風 システム開発で活路
パナソニックが太陽電池の生産から撤退することが明らかになった。価格競争力を高めてきた中国などの海外メーカーに押され、かつて世界シェア上位にいた国内勢が厳しい環境に置かれている。国内各社は太陽電池など再生可能エネルギーを効率活用する事業に活路を求める。
パナソニックは2017年3月期に太陽電池事業が赤字へ転落して以降、生産を国内工場からマレーシアの工場に移管するなどしコストの削減を進めたが、20年に米電気自動車(EV)メーカー、Teslaとの太陽電池生産の協業を解消。同年には中国GSソーラーへのマレーシア工場売却案も頓挫した。
パナソニックの関係者は「桁違いの大量生産で価格競争力を高め、シェアを拡大してきた中国メーカーの勢いを止められなかった」と振り返る。
厳密に言うと太陽電池を生産しているマレーシア工場は閉鎖しますが、国内での太陽電池関連部品の製造は続けていくとのことです。
「脱炭素社会」では、太陽光発電などに代表される再生可能エネルギーに期待が集まっています。しかしそうした中でパナソニックの太陽電池の生産から撤退というニュースは、かなり大きなターニングポイントでは無いでしょうか。
実際に日本国内では2012年以降の固定価格買取制度により、太陽光バブルともいう時代があったのは事実です。太陽光発電を設置してその電気を売れば、十分利益が出たのです。しかし固定価格買取制度の見直しにより、太陽光発電の需要が下がってきたのは間違い有りません。
またパナソニック製の「HIT太陽電池」はもともと高級ブランド的な位置づけをされていたのですが、コストが安く大量生産できる新型太陽電池が普及してきたために、その売上を減らしてきたという流れがあります。また新型コロナウイルスによる影響も当然あるといえるでしょう。
いずれにせよ、今回の一連の出来事は国内の太陽光電池産業が衰退してきてしまった、というように受け取られてしまっても仕方ないでしょう。だからといって、これで太陽光発電の研究や発展をやめていい、という事では決してありません。むしろ更に研究を続け、よりコストがかからずに大量の電気を発電できるよう、発展・改良を続けていく必要があるでしょう。
「脱炭素社会」に向けては、まだまだ多くの課題が山積みです。それらを丹念に一つずつ解決していくことこそが、現在求められていることだといえるでしょう。