数年前に家庭用太陽光パネルのちょっとしたブームがありました。このブームは、太陽光発電で余った電気を買い取ってもらえる、という固定価格買取制度があったために起きたブームだと言えます。この固定価格買取制度も制度が見直され、今までのように高い価格で電気を買い取ってくれる、という事は無くなりました。
そのブームの時にご自宅に太陽光パネルを設置された方も多いかと思います。そして現在も太陽光パネルで発電した電気を利用されているかと思いますが、ここでひとつ気になることがあります。例えば停電の時など、太陽光発電は役に立っているのでしょうか?例えば台風などの災害により停電が発生したこともあるかと思います。そのような時、やはり太陽光発電だと停電も起きずに、安心して電気を利用できているのでしょうか?ちょっと基になりますね。
実はこれに関しては、面白いデータがあります。2019年の台風15号被害の後にJPEA(太陽光発電境界)が出した「災害時における太陽光発電の自立運転についての実態調査結果(台風15号)」というレポートです。
JPEA:災害時における太陽光発電の自立運転についての実態調査結果(台風15号)
台風15号によって発生した大規模停電に際し、停電の規模が大きかった千葉県において弊協会の会員会社を通じて太陽光発電設備を設置しているお客様に対して、「太陽光発電の自立運転機能」の活用についてのヒアリング調査を実施いたしました。
調査期間:2019年9月20日(金)~10月10日(木)
今般の台風による停電において、住宅用太陽光発電システムを設置している方は、蓄電池を併設しないケースでも約80%が自立運転機能を利用され、停電時に有効に活用できたとの声を多く頂きました。
<自立運転機能を利用された方の声>
冷蔵庫を使うことができたので、中の食べ物を腐らせずに済んだ。
日中に冷蔵庫・洗濯機・扇風機・テレビが使えた。
近隣の方へ携帯の充電等で貢献できたことが嬉しかった。
特に、蓄電機能を併設されている方からは、1週間程度停電が続いたが太陽光(発電)のみで電気が供給できて大変助かった、夜電気が使用出来ることで子供も安心して過ごせた、等の声が寄せられました。
「自立運転」とは、災害時などに太陽光発電のみで電気を利用する機能のことです。実はこの「自立運転機能」が無いと、停電時でも家庭用太陽光発電によって発電した電気を利用することができないのです。
停電した場合でも、太陽光発電した電気があれば、それを非常用電源として使えるようにするパワーコンディショナの機能。
自立運転機能のないパワーコンディショナの場合には、停電してしまうと、たとえ太陽光で発電している電気があってもこれを使うことができません。これに対し、自立運転機能があるパワーコンディショナの場合、停電した場合でも、太陽光で発電している電気があれば、自立運転用として設置された非常用コンセントに電気製品を差すことで使用できます。
これから自宅に太陽光発電パネルを設置しよう、と考えておられる方はちょっと注意した方がいいかもしれませんね。話を戻しますが、JPEAの調査では台風15号の際に発生した停電でも、太陽光発電があれば普段どおりの生活を送ることが出来た、という結果が出ております。考えてみれば当たり前の話なのですが、それでもこのような災害時には太陽光発電が役に立つ、ということが改めて良くわかりますね。
このように災害時にも利用できるのが家庭用太陽光発電の最大のメリットです。しかしそれでもいくつかの注意点があるのは、間違いありません。まず最初の注意点は「太陽光発電」なので、曇天や雨天の時には安定した発電量が期待できません。ましてや夜間は電気が使えなくなります。本来であれば夜中にこそ電気が欲しいのですが、そうはいかないのがもどかしい所です。しかし昼間のうちだけでも電気が使えるのであれば、かなり助かることが間違いありません。
そしてもうひとつの注意点が、自立運転機能を利用する場合、電力の上限が1500Wとなってしまいます。ですので、電気を大量に必要とするような機器は動作が不安定になるか、場合によっては使えない事もあります。これもあらかじめどの機械が使えて、どの機械が使えなくなるのかを、チェックしておいた方がいいでしょう。
いずれにしても災害により発生した停電では、少しでも電気を使えることが大きな助けになる事は間違いありません。これから自宅に太陽光発電を設置しようと考えている方、またすでに太陽光発電を設定されている方、自身の太陽光パネルの性能や使い方などを熟知しておいた方がいいと言えるでしょう。