原子力発電と再生可能エネルギー発電は二者択一なのか?

このコラムでも何度も書いてきていますが、現在日本の原子力発電所はそのほとんどが稼働を停止しています。この数年でようやく再稼働が進み始めていますが、それは全体のほんの一部にすぎません。

一方原子力発電と入れ替わるように盛んになってきたのが、いわゆる再生可能エネルギーです。再生可能エネルギー発電とは、太陽光発電、風力発電、地熱発電などなど、主に自然のエネルギーを利用する発電のことです。これら再生可能エネルギーは「環境に優しい」ことが最大のメリットとされており、実際に発電の際に排出される炭酸ガスは、従来の火力発電などと比べて大幅に減っております。そうしたメリットから今後は再生可能エネルギーによる発電を主力にすべきだ、という機運が高まりその利用が急ピッチで進められているのが現状です。

しかし最近になってこれら再生可能エネルギーは、まだまだ大量の電気を安定して発電できるほどでは無いという事が広く知られるようになってきました。発電にとって最も必要とされているのは「安定して大量の電気を発電できること」です。これが出来ないのであれば、大規模停電などの原因ともなり、私達の日常生活に大きな混乱をきたすこととなります。また「環境に優しい」と言いながら、実際には太陽光発電のように、山林を広く切り開いたり廃棄物処理が難しかったりする、というデメリットがあるという事もようやく知られるようになってきました。

「大量の電気を安定して発電できるが万一事故が発生した場合には大規模な被害が予想される原子力発電」と、「環境への負荷は少ないがあまり大量の電気を発電することが出来ない再生可能エネルギー」。私達は一体どちらのエネルギーを使っていけばいいのでしょうか?

しかしちょっと待ってください。果たしてこれらは「どちらか一つだけ」選ばないといけない物なのでしょうか?むしろ両方を併用して行くことで、お互いのメリットを最大限利用し、それぞれのデメリットを減らしていくことが出来るのでは無いでしょうか。私達は無意識に二者択一を想定してしまいますが、実はそこに大きな罠が潜んでいるのでは無いでしょうか。特に原子力発電では温暖化ガスは発生しません。そういった意味では再生可能エネルギーと共存していくことは、不可能では無いといえるでしょう。

これからの研究によっては「事故の起きない・起きにくい原子力発電」あるいは「発電効率に優れた再生可能エネルギー発電」が実現できるかもしれません。しかしそれが実現するまでの間は、両方を上手く利用しつつバランスをとっていくことが大切だと思います。特に電気は私達の命に直結する問題です。「どちらか片方だけ」という安易な考えは捨てて、利用できるものはどんどんと利用していった方が、より良い結果が生まれるのでは無いでしょうか。