少し前に以下のようなコラムを書きました。これは「太陽光発電のコストが原発よりも安くなる」というニュースを受けて書いたものです。
しかしこの試算にはちょっとしたカラクリがある、というのはこのコラムの中でも指摘しました。太陽光発電は夜間及び雨天時には発電ができないため、そうした時に他の発電を利用する必要がありますが、それらのコストが計上されていないのです。そのために太陽光発電のコストが原子力発電よりも安くなってしまった、という事です。
そしてつい先日、経済産業省から最終的なコスト試算がまとめられました。つまり上の記事の答え合わせだと言っていいでしょう。
SankeiBiz:事業用太陽光が最も割高に 2030年の電源別統合コスト
経済産業省は3日、太陽光や原子力といった電源ごとの2030(令和12)年時点の統合的な発電コストの試算をまとめた。国の中長期的なエネルギーの方向性を示すエネルギー基本計画の素案で各電源の30年時点の構成比がまとまったことを踏まえ再計算したもので、1キロワット時当たりの発電コストは事業用太陽光が18・9円で最も割高になった。
今回は、バックアップ電源の費用も含めたより実態に近い統合的な発電コストを試算。1キロワット時当たりのコストは安い順に、ガス火力が11・2円、石炭火力が13・9円、原子力が14・4円、陸上風力が18・5円、事業用太陽光が18・9円だった。
記事にも書かれている通り、今回は太陽光や風力などのバックアップ用電源の費用なども含めた試算となっています。そして当然というか予想通りというか、太陽光発電は原子力発電よりもコストがかかる、という結果になりました。しかし前回のコラムを読んでいただければ、特に驚く事は無いでしょう。
そして大切な事は、「コストがかかるから止めよう」「コストが少ないからもっと増やそう」という事では無く、バランス良く発電方法を選んでいき適材適所で利用していく、という事になります。例えば離島では原子力発電所を設置することは難しいでしょう。そういった場合には太陽光発電や風力発電の方が役に立つかもしれません。そうなった場合にはもちろん、夜間や雨天時の対策も考えておかないとならないでしょう。そうして「発電」というものを複合的に捉えていくことが、今最も求められているといっていいでしょう。
興味のある方は、経済産業省のページから直接資料をご覧になってみてください。