2018年7月に西日本を中心に発生した記録的豪雨は、本当に大変な災害でした。その豪雨の最中、このようなニュースがあったのをご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
山陽電鉄の線路内に土砂 各地で土砂崩れが発生
鉄道にも影響が出ました。山陽新幹線では線路脇に設置されたソーラーパネルが倒壊し、安全確認のため一時、運行がストップしました。また、山陽電鉄では午後3時すぎ、山陽塩屋駅と須磨浦公園駅の間で斜面が幅約10メートル、高さ約5メートルにわたって崩れ、線路内に土砂が入ってきたということです。
リンク先(既にページが削除されています)の動画を見ていただくと、実際の映像をご覧いただけます。線路のすぐそばにある大量のソーラーパネルが、土砂崩れの影響で線路の近くに崩れ落ちてきています。とても危険な状態です。しかし実はこのような危険性は、以前から一部では指摘されていました。
太陽光発電は「雨」に弱いのです。それはもちろん、雨天の時は発電量が少なくなるという意味もありますが、実はそれだけではありません。
いわゆるソーラーパネルは、設置するのに広い土地が必要です。一般家庭用のソーラーパネルであれば、屋根の上にパネルを置けますし、また発電量も家庭で使うだけを賄えばいいので、それほど大型のものは必要ありません。しかしその地域一帯の電気を賄うような場合、大型のソーラーパネルを大量に設置する必要があります。そのためにはどうしても太陽の良くあたる広い土地が必要です。しかしそのような土地はなかなかありません。そこで場所によっては、山の木を大量に伐採して、ソーラーパネルを設置しているそうです。
しかし山の木というのは、実は根を張ることで、土砂崩れなどを防いでいるという役目があります。ソーラーパネルを設置するために木を伐採した土地では、どうしても地盤が弱くなり、土砂崩れなどが発生しやすくなります。今回の場合は線路のそばにそのような形で大量にソーラーパネルが設置されており、今回の大雨が原因で土砂崩れが発生してしまったのでは無いでしょうか。
またソーラーパネルは、重量が実はかなりあります。一般家庭用でも、しっかりと屋根に固定しておかないと、屋根からずり落ちてしまう危険性があります。そのような重いものを坂になっているところに大量に設置すると、よほどしっかり固定しないと、崩れてしまう危険性があるでしょう。
雨に関して言えば、ソーラーパネルにはもうひとつ欠点があります。
水没した太陽電池発電設備による感電防止についてのお願い(周知)
台風3号から変わった低気圧による大雨・河川氾濫等により福岡県、大分県で浸水が発生しています。太陽電池発電設備は、浸水・破損をした場合であっても光があたれば発電をする事が可能です。このため、破損箇所等に触れた場合、感電をするおそれがあります。復旧作業中の感電を防ぐため、下記の作業上の注意点を関係自治体へ周知しました。
こちらは2017年の台風3号の際に経済産業省によって書かれたものですが、本文中にかかれている通り、「太陽電池発電設備は、浸水・破損をした場合であっても光があたれば発電をする事が可能」だということです。つまり水に浸かったまま発電を始めてしまう事で、気づかずに近づくと感電してしまう恐れがあるのです。
「太陽光発電」と聞くと、なんだかとても自然に優しいクリーン、事故も少ないようなイメージがあります。しかし上に書いてきたように、実際には事故が発生する危険性は十分にあります。そしてソーラーパネルを設置するために、森林や山を切り開いてしまうというのは、なんだか矛盾しているような気がしますが、いかがでしょうか?
太陽光発電には、メリットもあればデメリットもあります。もちろんそれは他のどの発電方法も同じです。大切なことは、いかにして周囲の環境に配慮し、かつ豊かな生活を送れる程度の電気を作り出せるか、という事では無いでしょうか。いくら太陽光発電が温室効果ガスを出さないといっても、ソーラーパネルを設置するために森林を伐採したり、そのために土砂崩れなどが発生するようでは全く意味がありません。設置場所を考えるか、あるいはソーラーパネルの小型化や新しい形などを考えていかないといけないでしょう。これは太陽光発電に関わらずありとあらゆる「発電」に貸せられた課題なのかもしれません。
最後になりましたが2018年7月に発生した、西日本を中心とした記録的豪雨で被害を受けられた方々に、心よりお見舞いを申し上げます。