新電力の歴史をもう一度おさらいしてみよう

ここ最近電気についての話題が、インターネットや新聞・テレビなどで話題になる事が多くなっています。でもそもそも新電力ってなんだろう?一体いつからあるんだろう?と疑問に思っていらっしゃる方も多いと思います。新電力の歴史については以前にコラムで書いたのですが、ここではもう一度簡単にその歴史をまとめてみたいと思います。

まず「新電力」ですが、これは「従来の地方電力会社とは別の新規参入の小売り電気事業者」のことを言います。地方電力会社とは従来の東京電力、東北電力、関西電力などなどです。これら地方電力会社は電気の供給をある意味で独占してきたわけですが、それ以外の事業者でも電気を販売できるようにすれば、競争などが起きて電気の価格が安くなるだろう、という意図のもとに生まれたのが「新電力」です。そしてその仕組のことを「電力自由化」と言います。新電力の歴史は、電力自由化の歴史とイコールなのです。

ではその電力自由化は、一体いつ頃スタートしたのでしょう?そもそもは1995年に電気事業法が改正されたことがスタートです。その後2000年から特別高圧、高圧、そして一般家庭用の低圧と、段階を経て電力自由化は進んできました。一般の方が「電力自由化」を耳にしたのは、おそらく2016年の一般家庭用低圧電気の自由化のときでは無いかと思います。そのため電力自由化はまだ新しい概念だと思っていらっしゃる方も多いかと思いますが、実はスタートしてからは20年以上、そもそもの構想からは25年以上が経っているのです。そう考えると電力自由化は実は、かなり歴史があるのだという事がおわかりいただけると思います。

そこで気になっているのですが、昨今の電力不足・電気代高騰を「311後の新電力のせいだ」と言う論説を見かけることが良くあります。しかしいわゆる「311」は2011年の話。しかし新電力そのものはそのもっと前から考えられていたものです。「311」があったから新電力や電力自由化が出来たわけではありません。そこは誤解の無いよう、理解していただきたく思います。

もちろん一般家庭用の新電力がスタートしたのは、「311」後の2016年になってしまいます。これはタイミングとしては確かに悪かった面もあります。しかしすでに決まっていたものを止めるのは、なかなか難しいものです。それに新電力自体はそれ以前から動いていたものですから、電気代の高騰を単純に「新電力のせい」にするのは、いささか筋違いのように思います。

電力自由化も新電力も、そのメリットをしっかりと理解すれば、電気代が安くなるという恩恵を受けることが出来ます。まずはそれぞれについてメリットとデメリットを、しっかりと理解しておくことが大切だと思います。単純に目先のことについて、あれが悪いこれが悪い、と言うだけでは結局何も変わらないのでは無いでしょうか。