再生可能エネルギー発電の中でも特に太陽光発電や風力発電は、天候に大きく影響されます。太陽光発電であれば曇天・雨天時や夜間には発電ができません。また風力発電であれば風が吹いていない時には発電ができません。そしてこれら再生可能エネルギー発電に共通することですが、メンテナンスが意外と大変です。太陽光発電であれば周辺にちょっと草が生えて茂っただけで発電量に影響を与えます。風力発電もあの巨大な風車を定期的にメンテナンスしないといけないわけですから、どれだけ大変なのかは想像がつくと思います。
そうした理由から再生可能エネルギー発電にあった期待感というものが、この数年で急速に無くなってきたように思います。今回紹介するニュースもそうした流れの上にあるといっていいでしょう。
新潟日報デジタルプラス:計画「回らず」赤字、風車引退へ 新潟・マリンピア近くの風力発電
新潟市が中央区水道町1の海岸沿いに設置していた小型風力発電機「なぎさの白い風車」が、当初想定していた20年の使用期間の半分にも満たない約9年で運転を停止し、解体撤去されることとなった。赤字が続く上、維持する場合は多額の修繕費が必要になることなどが要因。「マリンピア日本海」近くの目立つ場所に設置され、訪れた人の環境意識向上に一定の役割を果たしたが、早々に事業を終えることに、見通しの甘さを指摘する声も上がる。
風車は高さ約13メートルで、海に向かって5基が並ぶ。3月末に運転を停止した。市は再生可能エネルギーの活用をPRしようと、事業費約5千万円をかけ、2013年7月に設置。隣接する市の施設「老人憩の家なぎさ荘」の電気の一部を賄い、余剰分は東北電力に売却。電気代の節約分と売却益を合わせ、年間約50万円の効果を見込んでいた。
しかし、同9月に落雷によるブレーキ故障で1基のプロペラが落下。14年には電気制御の不具合で一時稼働を停止するなど苦難が続いた。年間発電量は計画の2割ほどの5千キロワット時前後にとどまる一方、維持費はかさみ、毎年約120万円の赤字を計上していた。
運転し続けるには、940万円ほどかかる大規模修繕が必要だといい、市は本年度中の解体撤去を決めた。費用は1100万円。これに対し市議会では、10年もたたずに事業が打ち切られることに、妥当性を問う声や、「しっかり検証しなければいけない」といった指摘が出ている。
記事中にも書かれているとおり、故障でプロペラが落下したというのは仕方ない部分もあると思いますが、それを修繕するためには1000万近い費用がかかるというから驚きです。もちろんこれはあくまでも修理のための費用です。その他のメンテナンス費用、例えば海上にある風力発電であれば、サビ対策もしないといけませんし、台風などで倒れたりした場合の事も考えないといけません。
もちろん他の火力発電や原子力発電でも、メンテナンス費用はかかります。問題はそのメンテナンス費用に見合った発電量が期待できるかどうか、という所でしょう。電気が大量に発電できるのであれば、ある程度お金をかけてメンテナンスをする価値はありますが、あまり発電が期待できないのであれば、そこまでお金をかけてメンテナンスしても仕方ない、という事になります。
発電に限ったことではありませんが、リスクとリターンのバランスは常に考えておかないとなりません。そして残念ながら発電に関してノーリスクという事はありません。しかし安全対策などをしっかりと行うことで、リスクは減らすことが出来ます。それもこれも大量の発電が出来て、ある程度余裕がある環境でないとなかなか難しいでしょう。
今回ご紹介したような風力発電施設は、これからも増えていくかもしれません。