東日本大震災から10年が経ちました。あの規模の巨大地震はそうそう起きないとは思いますが、先月にも福島県沖を震源とする最大震度6強の地震が発生いたしました。地震に対しては、どれだけ備えておいても足りないということは無いでしょう。
地震となると真っ先に心配になるのが、やはり原子力発電所では無いでしょうか。東日本大震災の時に発生した福島第一原発の事故は、実際には地震では無く直後の津波による外部電源の喪失が原因なのですが、それでもやはり地震に対しては強くあってほしいと思います。
そうした地震に対して原子炉がどれだけ耐えられるか?という事を評価するシステムが、日本原子力研究開発機構(JAEA)により開発されました。
巨大な地震が発生した際には、そのゆれが原因で原子炉内の配管が破損する可能性があります。使用期間に応じた配管の劣化度合いで地震による破損の確率が変化しますが、配管の劣化を考慮した地震時の破損確率を求める手法はこれまでありませんでした。
原子力機構では、配管の材料特性や使用環境、劣化の進展程度などを考慮して、使用期間に応じて配管が地震で破損する確率を求められる世界で初めての解析コードを開発し、妥当性の確認を経て公開しました。
また、長期間使用された配管について、地震で破損する確率を求めるための手順や推奨される手法およびモデル、技術的根拠などを取りまとめた評価要領を世界に先駆けて整備し、外部専門家の確認も経て公開しました。
本成果は、長期間運転された既設原子炉の地震に対するリスクの現実的な評価にとって重要です。一例として、地震のゆれに対する配管の余裕に関して、保全活動による改善効果を定量的に評価できます。これらのことから、安全性向上評価をはじめとするリスク情報の活用への寄与が期待できます。
詳しい内容はリンク先を参照していただきたいのですが、このシステムを利用して研究が進めば、原子力発電所のみならず他の発電所でも、地震対策が進むことになるでしょう。特に日本は地震大国です。既に多くの地震対策がなされていますが、それが更にレベルアップすることになるかもしれません。
自然災害に絶対強いという発電方法はありません。太陽光発電ですら太陽光パネルが地崩れで崩壊したり、台風などで飛ばされたりします。そういう意味では原子力発電所よりも脆いといえるかもしれません。しかし一度自然災害でダメになったからといって、そこで運用をやめてしまうことは、それこそ意味が無いことだと言えるでしょう。そうした災害などを教訓として、更に研究・発展をしていくことが、求められているのです。