先日のこの記事にも書きましたが、太陽光発電には「豪雨に弱い」という意外な弱点があります。
西日本豪雨の影響により、兵庫県姫路市林田町下伊勢で傾斜地の太陽光発電施設が約3600平方メートルにわたって崩れ、住民や通行人から不安の声が上がっている。これまでに周辺の人や建物への被害はないが、住民らは「雨が降る度に心配」「何か起きてからでは遅い」と設置者の企業に早期の対応を求めている。
これは2018年7月13日の記事ですが、やはり西日本豪雨の影響により、太陽光発電施設が大規模な崩落を起こしてしまった、という事が書かれています。前回も書きましたとおり、こうした斜面を利用した太陽光発電施設は、森林などを伐採して作るために、がけ崩れや崩落が起きやすくなってしまいます。太陽光パネル自体がかなりの重さであるのに加えて、崩落が起きやすくなっている地面に設置されているため、台風や豪雨の際には余計に危険度が高まります。
もちろん先日の西日本豪雨は、確かに観測史上類を見ない大災害だったのは間違いありません。しかし西日本豪雨以前から、太陽光発電の危険性については指摘されていました。
こちらのページには、平成25年(2013年)以降に発生した、太陽光パネルに関する様々な事故がまとめられています。豪雨や台風だけではありません。豪雪や突風などもで、太陽光パネルは破損したり崩れたりしています。太陽光パネルはもともと野外に設置するものなので、そうした自然現象の影響を受けやすいのでしょう。そうした問題は、太陽光パネルを設置するときに崩れたりしないように、しっかりと設置すればいいのでしょうが、そうなるとコストが上がってしまう事になってしまいます。
また以前書いたように太陽光パネルが豪雨や台風などで水没してしまった場合、感電するリスクが指摘されています。
太陽光パネルは水没したとしても、太陽光が当たると発電を始めてしまいます。電気を帯びているものが水に浸かっているわけですから、漏電の危険性があるのです。
このような水没した太陽光パネルの危険性は、すでに2015年に経済産業省から周知がなされています。つまり最近になって始めてわかったリスク、というわけではありません。
また太陽光パネルには、更に別のリスクもあります。それは太陽光パネルを廃棄処分する際に有害物質が出てしまう、という事です。
ソーラーパネルにはカドミウムやカドミウムテルルや鉛などの、有害物質が含まれています。もちろんこれらは微量なのですが、今後大量のソーラーパネルが廃棄される際に、これらの有害物質をどうするのか?という問題があります。
ソーラーパネルには電極やシリコンなどを、何層にも強固に接着しています。そのため解体や分離などをするのは、非常に困難となっているので、そのまま産業廃棄物の処分場へ廃棄するしかありません。その際に上に書いたような有害物質もそのまま埋め立てられる事になってしまうのです。
この辺りは規制を強化して、正しく処分されるようにしていかないといけないのでしょうが、あまりに条件を厳しくすると費用もかかってしまいますし、また逆にソーラーパネルが違法に捨てられてしまう、というような事態も招きかねません。太陽光パネルのリサイクルなども研究されているようですが、そうした対策を早く適切にとっていかないとならないでしょう。
「太陽光発電」というと、環境に優しいとてもクリーンなイメージがあります。しかしその実態は今まで書いてきたように、なかなか上手くいかないものです。今後はそうした太陽光発電のメリットとデメリット、リスクとリターンを正しく理解し、より私達の生活に役立つようにしていかないとならないでしょう。