LNG発電とは?
ここ最近のニュースで「LNG発電」という単語をご覧になった方もいらっしゃるかと思います。「LNG」とは液化天然ガスのことです。現在火力発電に使われるエネルギーは主にⅢ種類あります。まず石油、次に石炭、そして3つ目がこのLNGです。そしてこのLNGには、実は石油や石炭と比較しても大きなメリットがあります。
なんといっても火力発電として利用した場合に、三つの中で温暖化ガスの排出量が最も少なくなるのがLNGなのです。二酸化炭素の場合、その排出量は石炭のおよそ6割程度となっています。二酸化炭素以外の温暖化ガスも、その排出量は石炭よりもかなり少ない数値となっています。まさにクリーンな火力発電のためには、ほぼ必須のエネルギーだと言えるでしょう。
LNG発電は比較的クリーンな発電方法
日本では川崎火力発電所がこのLNGを利用した発電所としては、世界最高水準のシステムということで知られています。
EMIRA:世界最高水準の発電システム! 川崎火力発電所のエネルギー施策に迫る
「火力発電は電力需要の変動に柔軟に、そして安定的に供給しながら、CO2排出の原因となる化石燃料資源の消費を最小限に抑えることを目指す必要があります。そのために熱効率を高めることに努めているのです」
熱効率とは、燃料から得たエネルギーをどれだけ電気エネルギーに変えることができるかの割合。この値が高いほど省エネで、CO2排出量が低いということになる。
「川崎火力発電所が誕生した当初は、石炭を使い、汽力発電という蒸気の力だけでタービンを回す方式で発電をしていました。そのころの熱効率は38%程度。そのあとに汽力発電とガスタービンを合わせて発電する”コンバインドサイクル(複合)式”となり、50%に近づきました。さらに”アドバンスド・コンバインドサイクル”という改良型で53%を超え、続いて”モア・アドバンスド・コンバインドサイクル(MACC)”で59%、2016年に導入したMACCの進化系であるMACCIIで61%を達成。これにより現在”世界最高水準”となっています」
MACCIIは高い熱効率にて運転し、燃料使用量とCO2排出量も30%ほど削減。環境保全という意味でも大きな進化を遂げている。
LNG発電のメリット
またLNGは主に海外からの輸入に頼っているのですが、様々な国から輸入することが出来るので、石油のように産出国近辺の政治情勢をあまり気にしなくても良い、というのもメリットとなるでしょう。しかし後で書きますが、このメリットもあまりメリットになりえないという事が近年分かってまいりました。
LNG発電のデメリット
LNGを使った発電のデメリットとしては、輸送や貯蔵に特殊なタンク・船舶が必要だということでしょう。LNGは輸送する際には、マイナス160度に冷却された状態で運ばれます。そうした低温に耐える設備がどうしても必要となってきてしまいます。そして貯蔵に特殊なタンクが必要ということで、長期間の保存が難しいという面もあります。定期的にLNGを諸外国から購入・運搬しないといけないのです。
深刻なLNG不足
先ほど「LNGは複数国から輸入しているのがメリット」と書きましたが、今冬の日本での電力不足の原因となったLNG不足は、コロナの影響や複数の拠点でのトラブル、その他多くの国でのLNGの取り合い、LNG運輸海路の混雑など複数の原因が重なってしまい、起きています。つまりメリットがメリットとして成立していない状況になっているのが現状です。コロナが落ち着けばある程度状況は緩和されるでしょうが、今しばらくはLNG不足が続くと思われています。こうなってしまっては、他の火力発電や原子力発電などに頼る必要が出てきてしまいます。
最後に
LNGは確かに火力発電の救世主になりうるかもしれません。しかしそれでも万能ではありません。こと電力に限っては、ちょっとの不足で大災害が起きてしまう可能性があります。常にエネルギーを絶やさないよう、一つの発電方法に依存することなく、安定して大量の電気を作れるような方法を、常に模索していく必要があると言えるでしょう。