秋田県の工場にお伝えしたいサマータイムについて

秋田県について

東北地方の中で日本海に面している県の一つが、秋田県です。県庁所在地は秋田市です。

秋田県には秋田杉など、多くの森林があり、日本三大美林の一つとして数えられています。そのため木材の生産量は、全国4位となっています。またあきたこまちを始めとする稲作も盛んで、米の産出額は日本で3位となっています。米の生産が多いということは、日本酒の生産も盛んということで、日本酒の生産高も日本で6番目になっています。

秋田県では現在スマートフォンやタブレットなど、多くの通信機器に必要不可欠な固定コンデンサを多く生産しており、その出荷額は日本一となっています。こうした電子部品やデバイスの製造は、県内の製造業生産額の約25%を占めるほどとなっています。そうした電子部品などの開発ノウハウを利用して、風力発電などの新エネルギーの開発にも力を入れています。

そんな秋田県の製造業の皆様にお伝えしたいのは、サマータイムについてです。

サマータイムについて

「サマータイム」、最近良く聞く言葉だと思います。しかし「サマータイム」とは一体どういう仕組みなのでしょうか。

サマータイムとは、夏などの日の出の時間が早まる期間中、時計の針を一定時間進めて、太陽の出ている時間を有効に活用しよう、という仕組みのことです。欧米諸国を中心にして、導入されています。

時計の針を進めるということは、例えば朝の8時が9時になる、ということです。普段9時に始業する会社であれば、8時に出勤しないとならなくなります。しかしその分、終業時間が例えば17時であったなら、16時になるわけです。そうなると夕方かなり明るい時間に仕事が終わるので、その後の時間を有効に活用できる、という事になるわけです。

サマータイムと節電について

ここ数年、このサマータイムを行うことで節電が出来るのでは無いか?という事が良く言われるようになってきています。会社が一時間早く終わるのであれば、まだまだ明るい時間に終わることになり、その分の照明などの費用が節約できるだろう、という事になります。なるほどそれだけ聞けば確かに節電が出来そうな気がしますが、しかしその分1時間早く出社していることになるので、実はそう大きな差は出てこないのでは?と言われています。

特に冷房などの場合は、時間を1時間や2時間程度ずらしただけでは、およそ節電効果は出ないと言えるでしょう。ただ冷房のピークとなる時間がずれているだけです。冷房を使わないようにするのであれば、それこそ昼夜12時間はずらさないと、意味が無いでしょう。

そのように考えていくと、実はサマータイムではそれほど大きな節電効果は見込めないという事が、お分かりになるかと思います。

また単純に「時間をずらす」と言いますが、いまや多くのシステムがコンピューターで動いているという事を考えると、単純に時間をずらすだけでも、実に多くのシステムトラブルが発生する可能性がある、という事に気付かされます。例えばサマータイムの前日は夜23時から23時59分が「存在しない」ことになるのですが、その際の処理をどうするのか、という事は今のコンピューターでは考えられていません。間違いなくシステムトラブルが発生するでしょう。

ちなみに欧州などでは、既にサマータイムでも問題なく動くようなシステムが作られていますが、日本全部のシステムをそのように作り直すのには、とてつもない時間と費用がかかるという事は、即座にご理解いただけるかと思います。

例えば一企業が単純に「始業時間を一時間早くして、就業時間を一時間早くする」とやっただけでも、実に多くの困難が予想されます。事前に関連企業に対して、その旨を告知しておかないと、納品などで多くのトラブルが発生しかねません。企業相手だけでなくとも、例えば朝一時間早く起きて通勤する、と突然生活リズムが変わったとしたら、慣れるまでにはかなりの時間が必要となるのでは無いでしょうか。

最後に

現在サマータイムが導入されているところは、既にサマータイムという仕組みを長年やってきており、慣れています。しかし現在の日本では、慣れていないどころか、もし導入されたら間違いなく大きなトラブルが発生してしまうでしょう。ましてや節電効果などは、ほとんど期待できないと言っていいかと思います。

何か新しそうな言葉に飛びつくのはいいのですが、果たしてそれがちゃんとした結果を出せるのか、ただトラブルを招くだけでは無いのか、という事は、慎重に見極めていかないといけないと思います。