改めて考えてみたい新電力の疑問点

はじめに

企業向け特別高圧の「新電力」がスタートして、すでに20年近くになります。一般家庭向けに新電力がスタートしてからは4年ほどとなります。ちなみに平成30年9月のデータでは、特別高圧・高圧など企業用では新電力が15.5%のシェア、低圧など家庭用では11.7%のシェアとなっています。シェアとしてはまだまだ新電力の利用率は少ないといえるでしょう。この少なさは、まだまだ新電力に対する誤解がある事が原因だと思われます。

そこで今回は、新電力に関する疑問点を改めて考えていきたいと思います。基本的なことの再確認となりますが、少しでも皆さんの新電力への理解が深まれば、何よりなことかと思います。

そもそも新電力って何?

従来、電気は地方大手電力会社の独占下にありました。そのために価格競争などが発生せず、電気の値段が上がる傾向にありました。そうした独占状態を解消するために導入されたのが、電力自由化です。これにより電気代の価格競争をうながすことで、電気代が安くなるという効果が期待されました。

そして電力自由化に伴って生まれた、従来の地方電力会社では無い電気会社を「新電力」と言います。

電気代が本当に安くなるの?

多くの新電力が誕生したことで市場原理が導入され、電気代の価格競争が発生します。また同時に多くの電力プランも選択できるようになりました。そうした多くの電力プランの中から自分に合ったものを選んでいけば、ほぼ確実に今より電気代が安くなります

しかし選択肢が多いということは、逆に合わない物を選んでしまったような場合、電気代が高くなってしまう可能性も無いわけではありません。また当然のことですが安い電気料金プランを選んだとしても、大量に電気を使ってしまっては、結局高くなってしまいます。そうしたリスクはしっかりと理解しておくべきでしょう。

新電力にすると工事などが必要になるの?

新しく新電力に切り替えたとしても、電線や引き込み線などの送電設備は基本的には今までの物をそのまま流用いたします。電線を取り替えたり、新しい電線を追加したりする必要はありません。つまり工事などは一切行う必要がありません。また場合によっては、電気メーターをスマートメーターと呼ばれる最新の物に取り替える作業が発生いたしますが、この作業自体は数十分ほどで完了するような物です。また費用なども必要ございません。

新電力にすることで停電が増えたりしないの?

「新電力」だからといって、電気が今までと違う種類になるという事では、決してありません。上にも書きましたように、送電の設備などは従来のものをそのまま利用いたします。つまり送られてくる電気も、今まで通りの電気が今まで通りに送られてきます。ですので、新電力にすると停電が増えるというような事は一切ありません。また現在お使いの機械なども、そのまま利用し続ける事が可能です。

現在の設備を現在のまま使い続け、その上で電気代が安くなる、というのが新電力の最大の特徴だと言えます。

新電力会社が倒産してしまったら電気が使えなくなりますか?

現在多くの新電力があります。その中には経営状態が良くない所も、確かに存在いたします。そうした所と契約をしているにも関わらずもしその新電力が倒産してしまった場合、電気が届かなくなるのでは?とご心配される方も多いかと思います。しかしそのような場合、従来の地方電力会社がサポート的に電気を届けてくれるような仕組みが既に出来上がっています。契約している新電力が倒産しても、そのまま安心して電気を使い続けていただけるのです。

しかしこの場合、契約が新電力から地方電力会社になってしまいます。そうなりますと電力プランや電気代が、地方電力会社準拠のものとなってしまい、値上がりしてしまう可能性もあります。契約している新電力会社が倒産したという情報を手に入れたら、早い段階で新しい電気会社を探すようにしましょう。

賃貸住宅・マンション・アパートなどでも新電力は利用できるの?

現在賃貸住宅やマンション、アパートなどにお住まいの場合でも、新電力は利用できます。ただしその場合、電力会社と契約をされているのがご自身なのか、あるいは管理されている方なのかで変わってまいります。直接電気会社と契約をされているのであれば、そのまま新電力に切り替えが可能ですし、大家様、管理者の方との契約名義になっているのであれば、その方にご相談してみてください。

オール電化住宅でも新電力は利用できますか?

もちろん現在オール電化住宅にお住まいの方でも、新電力に切り替えることが出来ます。その場合はオール電化住宅向けの電力プランなどがあるかどうかをしっかり確認して、適切なプランをお選びください。

新電力は日本全国どこでも利用できるのですか?

基本的には日本全国どこでも、現在地方電力会社から電気の供給さえ受けていれば、新電力を利用可能です。ただし独立した発電施設などで電力を賄っているような地域などにお住まいの場合、新電力を利用できない事がございます。まずは最寄りの電力会社まで、ご相談するようにしてください。

最後に

今回は新電力に関する疑問について、改めてまとめてみました。こうした基本的な部分をしっかりと抑えておくことは、なにかと大切なことだと思います。そして新電力に対する誤解を解いていければ、これほど嬉しいことはありません。

新電力は私達電気消費者の味方です。電気代を安くすることは、私達に認められた当然の権利だと言ってもいいでしょう。新電力を正しく理解して、賢く電気代を値下げしていきましょう。